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第12話

その日から少しずつキスすることも増え時間も長くなってきた。だけど、それ以上はなかった。普通キスだけで終わるなんて無理なんだけど…オレは、いつそう言う風になってもいいように男同士でするセックスのやり方、特に指での前戯をめちゃくちゃ勉強した。早く抱きたいと思う。ん?待てよ…でもあいつ最初監禁した時、オレのものにしたいって言ってたな…ってことは.オレを抱きたい!?うわっそうかそうだったのか…あいつのことだからそう思っていてもどうしたらいいのか分からないんだ…そう分かっても自分から受けるために誘うことは出来なくて、何ならオレが抱きたいと思ってる… その時の雰囲気に任せようとあまり考えないようにした。 そんなある日、飲み会でついつい飲み過ぎてしまった。人の恋バナを肴に飲むのは羨ましさもあってピッチが早くなってしまった。玄関に着くといつものようにシンが出迎えてくれたけどベットに着くなりシンを押し倒してしまった。そこからは興奮のあまり、いつもは軽いキスなのに深いキスを何度も繰り返し、片手をシャツの中に這わせた。下で暴れるシンが本気で嫌がっていたことに気づかないで無理やりそこまでして気づいた時には既に遅くブルブル震えて涙を流していた。 「じゅん…本当にやめて…怖い…じゅん…」 「!…ごめん…シン…ごめん」 「…今日は帰る。ごめん」 「……」 溢れる涙を雑に拭って荷物をかき集めて出て行ってしまった。 やってしまった。 次の日からシンはオレを避けるようになった。 とりあえず、いつになるかわからないけど許してくれ るまで待つしかない。 もうすぐ三年の夏休みだって言うのに今だに避けられていた。このまま、自然消滅かな…嫌だなぁ…それだけのことをしてしまった自覚はある。だけど離してやれそうもない。 シンの講義が終わるのを待ち伏せして今日こそは絶対話す。 「おい。シン」 呼ばれたシンはビクッとしながら早歩きでこの場から離れようとする。オレは追いかけながら話しかける。 「おい。いつまでそうしてるつもりだ?ちゃんと話そうシン。オレが悪かったと思ってるけど、ずっとこのままでいいわけないだろ?それでも逃げるならもう追いかけない終わりにするから」 そう言った途端シンがピタっと止まる。 「……何で終わりって潤が言うんだよ!」 「そんなに逃げ回るくらいオレとはいたくないんだろ?それなのにオレはどうしたらいいんだよ」 「…だってっオレっ」 「シン。もうオレとはいたくないか?」 「そんなことない」 「じゃあ、ちゃんと謝らせてくれ。、、今日 バイト休みなんだけど、家来ないか?もう絶対あんなことしないから」 「……」 「シン…今後お前がいいって言うまで触らないって約束する」 「……」 「まだ怖いか?」 「……」 「シン」 「…潤の家行く…」 「良かった…じゃ行こ」 「……」 いつもオレの後ろからギュッとしてくるのに今日は少し離れたところに座るシン。警戒しているんだろうけど何だか寂しさを感じる。 「シン。本当にごめんな。多分キス以上のことをしたいってずっと思ってたのが酔った勢いであんなことになって…あれから禁酒してるから、もうあんな怖い思いはさせないと思う」 「……」 「…でも、キス以上のことをしたいって思うのは変わらない。誰でもいいわけじゃなくてお前だから…一緒にいるとヤバいんだよな…実は…」 「…オレで興奮するってこと?」 「あぁ、今はお前でしかしない。お前の寝顔や笑顔はオレを興奮させるんだ。もっといろんな顔が見たいっても思うし…シンのペースに合わせるって決めてたんだけど酔うとダメだな」 「…オレのペースって潤のペースだったらどうなってたの?」 「んーもうセックスしてると思う」 「…じゃあ…オレは潤に我慢させてるってことだね…」 「我慢って言うか、シンのいろんな初めてをみるのはオレであってほしいからゆっくりでいいと思ってたんだよ。だから我慢してる感はなくて…でもあんなことしちゃったから説得力ないか…」 「……」 「シン…本当にごめんな?」 「…オレだっていろんなことするのは潤だけだって思ってるよ…だけどあの時の潤は怖かった…怖かったし…オレを見てる気がしなかった」 「どう言うこと?」 「酔った勢いだったかもしれないけど、オレじゃない他の誰かを抱いてるような…」 「そんなことあるわけないだろ!」 「そう思うくらいいつもの潤じゃなくて怖かったんだよ!潤にはオレと違って初めてじゃないからオレの気持ちなんて分かんないよ!」 「確かに、それは分かんねーな。酔った勢いでも何でも今のオレはお前しか見てないから。だから、シンが何を思っているのか教えて欲しいよ。何に不安に思って、何に安心してるのか、、いろいろ聞かせて欲しい」 「……」 「……」 「……」 「シン…こっち来れる?」 「……」 黙ったまま動かなかったシンだったが、潤の広げる腕の中におさまった。 「シン、全部を酔ったせいにするつもりはないけど、お前のこと好きだから余裕がなくなったのは正直なところで…だから他の誰かと比べたり思ったりしてるわけではないから…でももう二度とあんなことしない…約束するから許してほしい」 「…オレはこれまで恋愛したことないから誰かと触れ合うこともなくて、全て…潤が初めてなんだよ。だからオレが抱きたいと思っていたけど潤が抱きたいと思うならそれでもいいと思ってる…だけど、あの時が本当に怖くてさ…」 「うん…ごめんな。だから、どんなに時間かかっても待つよ、、シンがいいって言うまで…」 「……」

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