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第14話
「……ごめんオレだけ気持ちよくなってイっちゃった」
「…いいよ、、その…気持ちよかったなら」
「うん、…めちゃくちゃ気持ちよかった。でも潤はまだイってないからキツイでしょ?」
「まぁな、シャワー浴びて抜いてくるわ」
立とうとする潤の腕を取って押し倒す。
「待って潤。オレがしてもいい?」
「え?しなくていいよ。シャワー浴びたら落ち着くかもしれねーし」
「いやだ、したい。」
「お前、嫌だって言い出したら聞かねーもんな。…じゃあ、頼むよ」
「うん」
再びベットに横になって足の間にシンが座り、抜いてくれた。最初はぎこちなかったが、流石男だ。どうすれば男が気持ちいいかなんて本能で分かるのか…気持ちよくイった。
お互いにシャワーを浴びて、一息ついたところで幸せだった時よりこの大型犬は尻尾を振っているかのように付きまとってくる。定位置はオレの後ろが当たり前。流石に少し鬱陶しい時もあるが、やはりこのポジションがお互いにしっくりくるようになってしまった。オレもまんざらでもないと言うことだ。
もうすぐ夏休みだし、元に戻れてよかった。
夏休みは課題をとっとと終わらせてバイトを程よく入れて、あとはシンと過ごそうと決めていた。だけど、ケンジが言いにくそうに祖母の体調が良くないと言う。ケンジが大丈夫ならバイトのことは気にせず夏休みは実家でゆっくり過ごすことを勧めた。それだと潤が毎日朝から晩まで出ることが増えてしまう、それをケンジは気にしていた。体力だけはあるから心配しなくていいと説得すると、実はおばあちゃんっ子だったから…と恥ずかしそうにありがとうと言ってきた。ケンジがおばあちゃんの側に少しでもいてあげられる手助けになれるならオレも頑張れるよ。と伝えると満面の笑みでありがとうと抱きついてきた。それで話は纏まりケンジとは別れて帰宅した。
怒っている。シンが明らかに怒っている。無言で夕飯の準備をしていて、いつもなら帰ると鬱陶しいくらいに付きまとうのに、、だんまり…
「シン?何かあった?」
「…別に」
「そうか?いつもと全然違うじゃん」
「…別に」
「…シン?」
「いい。今はほっといて」
「…分かった、、話したくなったらいつでも言って?オレ言われなきゃ分かんないからね?」
「……」
黙々とご飯を食べた、、片付けが終わっても何も話さない。とうとう、ごそごそと帰る準備をし出した。
「…シン?帰るの?」
「…うん…今日は帰る」
「何で今そんな態度なのか教えて欲しいんだけど」
「…今日は帰る」
「それは分かったけど、、本当にいいの?時間が経ったら逆に言いにくくならない?オレ絡みでしょ?」
「……」
「シン?」
「今日見てた」
「ん?何を?」
「ケンジくんと抱き合ってた…」
「……」
うっわ。何?やきもち?かわいい、、
心の中でそう呟きながらも平然とする。多分シンにとっては笑い事じゃなくて大真面目だから、、
「ケンジと?あーアレ見てたの?はずー」
「…うん。オレ以外と…」
「オレ以外とハグするなって?」
「……」
「大丈夫だよ。ただの友達同士のハグだよ?」
「友達同士でも嫌だ。潤はオレのだから、触られたくない」
「…んーそれは過敏すぎないか?オレとケンジが仲良いの知ってるだろ?」
「知ってるけど!潤はオレのものでしょ?嫌なものは嫌だ」
「その言いよう…何かオレがシンの所有物みたいで嫌だな」
「だってそうでしょう!?潤はオレのっ…分かってるよ!異常だって!でも、潤を他の誰にも触られたくない!」
「…それは無理だよ、、オレはケンジも大事だから。あと、嫌な事ついでに言うけど夏休みあいつの代わりにバイト出るからほぼ休みないし休みは課題しなきゃだからシンといる時間ないかも」
「……何でこのタイミングでそんな事言うんだよ!潤はオレと別れたいの?!」
「別れたいとかじゃないだろ…仕方ないことだってあるんだし、ケンジにも理由はあるんだよ」
「理由って?」
「んーあんま言いたくないけどケンジのおばあちゃんの体調が良くないらしくて夏休みはおばあちゃんとできるだけ一緒にいさせたくてオレが勧めた」
「潤が言いだしたの?オレとの時間が減るの分かってて?オレ楽しみにしてたんだよ?」
「それはオレも同じだよ」
「同じじゃないじゃん!オレの方が…オレばっかり潤のこと好きでっオレばっかり一緒にいたくて…離れたくなくて…」
「お前、何言ってんの?」
「だってそうじゃん!潤からの気持ちは伝わってこない!」
「…お前…自分で何言ってるか分かってるよな?そんな事言ったってどうしたら良いんだよ!オレはケンジも大事だ。それがシンにとって認められないことなら俺は付き合って行けない」
「オレの気持ち知ってて…そんな事言われたらオレはもう何も言えなくなるじゃん」
シンは、そう言いながら出て行った。
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