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第17話
何度も目が覚めては寝てを繰り返す。
シンとは話してない…
起きてトイレ行くと携帯がないことに気がついた。
「携帯、あんなところに隠すなんて。ケンジくんには来なくていいって連絡しといたから」
「……マジで、、お前のこと嫌いになりそうだわ」
「潤の気持ちはいらない。側にいるだけでいい」
「…ふっはははは」
「……」
「オレは別にゲイでも何でもないのに男のお前とセックスまでして、最終的には友達と抱き合ってたって言うだけでオレの気持ちや覚悟もなしになるなんて何なんだろーな、すげー笑えるわ。はは」
「……」
「最初に監禁されたあの時に戻れるならお前なんか好きにならずに軽蔑したまま警察に突き出してやるのに…っくそ」
その時インターホンがなった。
ピンポーンピンポーンピンポーンぴぴぴぴピンポーンピンポーン
こんにしつこくならすのはケンジが来たからだ。
大きなため息をついてシンが出る。
ドアスコープを覗いた後、シンはカギを開けてケンジを入れた。
ケンジ「おい、どう言うことだよ!」
オレ「ケンジ来てくれてありがとう」
ケンジ「来なくていいって連絡あったけど何かモヤモヤしてさ。来てみて何もなければ帰ればいっかと思ってとりあえず来たんだ」
オレ「流石だな」
入ってくると拘束されたオレを見て驚き、驚きながらも拘束をとっていく。
ケンジ「流石だな、じゃねーよ。どうなってんだ?シンとのそう言うプレイ中とか…?てか、お前、顔色悪」
オレ「そうか?てか、ケンジんち泊めてもらえる?」
ケンジ「それはいいけど…」
潤が荷造りしている間シンは黙って立ち尽くしていた。
オレ「オレ、ケンジのとこ泊まるから出る時カギ閉めて玄関のポスト入れといて」
それだけ言うと出て行った。
ケンジは次の日の朝の新幹線で帰省するらしく、しばらく家を使っていいと言ってくれた。
シンは自分の家へ帰っただろうか…もう何も話すこともないし責めるつもりもない。きっと考え方が違うからお互い何の解決もしないまま平行線を辿るだろう。
夏休みはバイトと課題に勤しんだ。夏休みもあと数日のところで家に戻った。綺麗に掃除されていてシンのものは何一つ残っていなかった。カギもポストに入っていたからシンはもう来ないだろうと思う。
休みも終わり、当たり前のようにケンジと弛んでいたがケンジはあの日の事を何も聞かない。ただ、別れたことは察したらしく相変わらず合コンに誘われる。コイツは何でこんなに合コン行ってんのに彼女出来ないんだろ…
恋人を作るためじゃなく、ただその場の雰囲気を楽しむために参加することも増えて大学生活を充実させてる。
今日も同じ大学だけど学部が違う女の子達と合コンだ。同じ大学だから顔を見たことがある子もいて話すと面白くて楽しく盛り上がっていた。そんな時一人の女の子の知り合いがやばいって話になった。
「いや、本当なんだって。私も友達に聞いたんだけど、そんなに仲良くはないけど会ったら話す子がいて、その子ストーカーしてんの」
オレ「ストーカー?」
「そうそう。ロン毛の男子がある日ものすごく短く髪切ってて、それまで髪で隠れていた顔が超イケメンだったらしくて、それからその彼に夢中なのよ」
オレ「ストーカーってどんなことしてんの?」
「私も聞いた話だから、どんなことしてるかは分からないけど家はもう分かってるって言ってたよ」
ストーカーってマジかよ…ここにきて思い出さなくてもいい事思い出した。しかも、そのイケメンは多分シンだ。だからと言って今更何も出来ない…
いつものベンチにケンジといると、シンが目の前を通り過ぎた。少し髪が伸びていて、そして驚くほどに痩せていた。思わず腕を掴んで声をかける。
「シン!」
「……」
「何か困った事は起きてないか?」
「…別に」
「なぁ、今日バイト休みなんだけど夜飲みに行かない?」
「……い、…行かない」
「そっか。急には無理だよな。また今度な」
「……」
「シン。何かあったらオレんとこ来いよ?」
何であんな事言ったのか自分でも分からない。ただシンを一人にしちゃいけない気がしたんだ。
今日は気分じゃなくて、ケンジの誘いも断って帰った。
いつも隣の部屋のドアノブにはビニール袋がかけられてて、少し前には自分にも同じようなことがあったなと漠然と思いながら部屋に入った。
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