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第18話

珍しく早い時間に風呂入ってあとは寝るだけの状態でテレビを見てると、玄関の方から声が聞こえる。何事かと玄関のドア前で聞き耳を立てると、ついさっき聞いた声が聞こえた。 「夜遅いから静かにして、近所迷惑になるから」 「だったら部屋に入れてよ!私の気持ち分かってるでしょ」 「気持ちは分かったけど受け入れることは出来ない」 「何でよ!こんなに愛しているのに!」 「でも、無理なんだよ」 「あんたがゲイだって言いふらしてやる。前に一緒にいた人のことも巻き込んでやるから」 「それはやめてくれ。もう終わったことだから」 「終わったこととかどうでもいいのよ!あんたがゲイだってリアリティが欲しいだけだから」 「どうすればいいの?」 「だから部屋に入れてよ」 「……」 諦めたように黙ってドアを開けて中に通した。 てか…シン隣に住んでたの? てか、女の子部屋に入れて何すんの? てか、、、なに? まさか、シンが隣に住んでいたなんて思いもせず一人でテンパったけどとりあえず行くか! ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン ガチャ 女の子が出てきた。 「うるさいな!近所迷惑でしょ!」 「ちょっと失礼」 と、ずかずかと中に入る。 手を拘束されたシンと目が合う。 「シン!」 女の子に止められながらも力づくで拘束を取り自分の後ろにやった。 「何なのよアンタ!もしかしてシンくんが前に付き合ってた人?今更何なのよ!あんたとは、もう終わったって言ってたわ」 オレ「そうだな。確かに終わってる。だけど、だからってこんなことしていいわけないだろ」 「あんたに関係ないでしょ!」 オレ「関係はないけど困ってる人がいたら助ける主義なんでね」 「もう何なのよ!シンくん!このままでいいの?!もう言いふらすから!」 女の子は捨て台詞を吐いて出て行った。 「シン?大丈夫か?」 「…何で来たの?頼んでないのに」 「まっ頼まれてはいないけどな。ほっとくことも出来なかった」 「…こんなっ事オレは潤にしてたんだね…気持ち悪かったよね?ごめん…」 「まーな。てか、ずっと隣にいたの?」 「…うん」 「よく会わなかったよな」 「……」 「さっきの女の子どうすんの?」 「明日、潤のことを巻き込まないように話してみるよ」 「で?また、部屋に入れてあの子の言いなりになるの?」 「……」 「シンはそれでいいの?あの子とそんな関係になっても」 「好きにはなれないけど…」 「じゃあ、やめときな」 「…でも」 「オレのことは考えなくていい。オレはオレを分かってくれる人だけ分かってくれればいいから」 「お前がどうしたいか。だ」 「……」 「オレにできることがあればするよ。話してみて」 「…あんなっあんなことしたのに、こんなこと言う権利ないって分かってる…だけど、だけど、潤以外の人と触れ合いたくないし好きになれない。潤の側にいたい」 「じゃあ、オレのそばにいろよ」 「え…いいの?」 「あぁ、オレも同じ気持ちだから。その代わり監禁とか拘束は二度とするな。どんなに嫌なことがあったり辛くても、ケンカしても」 「分かった…約束する」 「話し合いをしてもこの前みたいに解決しないこともあるかもしれないけどさ、オレはシン、シンはオレを好きかどうかでちゃんと考えよう?」 「うん」 「それから、シンお前痩せたよな?」 「あ…うん。食欲なくて…」 「これからはちゃんと食え。そして鍛えろ。オレが酔い潰れた時、誰が担ぐんだよ」 「そこ?はは、分かったよ」 久しぶりにシンを抱きしめて寝た。好きな人であれば、ただ抱きしめて寝ることがこんなに幸せに感じることだと改めて知った。 次の日、女の子は誰もが見る掲示板にシンとオレを名指しでゲイだと書いた紙を貼っていた。 ケンジほどではないが仲の良い友達は沢山いる。最初はみんな驚いていたが、ゲイではなくアイツ(シン)が好きなんだと訂正すると笑いながら応援すると言ってくれるやつばかりだった。 周知の仲になってからは大学内でもシンといることが増えた。もちろんケンジもいるし他の友達も快くシンを受け入れてくれた。 今回のことでオレはシンのことをもっと知ろうと思った。知らないことが多すぎる。 「何がきっかけでオレのこと好きになってくれたの?」 「んー大学入ってすぐの頃、潤が近くに住むお婆さんの荷物持ってあげてて、たまたま大学内でも見かけて…それから潤を見かけることが多くなって…たくさんの友達がいて色んな潤を見かけるたびに、もっと見たいな話したいな触れたいなって気持ちばっかり大きくなって行ったんだ。友達と話してるのが聞こえてバイト先も知って、行ってるうちにもしかしたら話せるかなとか期待して…それだけでよかったんだけど、たまたま、コンビニから帰ってきたら玄関前で潤が寝てて…あとは知ってる通りだよ」 「何で隣に住んでるって言わなかったんだよ」 「それは…言ったら来たいって言われるかもって思うと言えなかった」 「だから何で?」 「……知ったら、気持ち悪いよ…?」 「なに?余計に気になるわ。教えて」 「じゃあ今からうち来る?」 「え?いいのか?」 「うん…」 シンの部屋に入ると、潤の写真がベットの横の壁に貼ってあった…それも結構な枚数… 「⁈」 「引いた?」 「ははは、お前どれだけオレのこと好きなの?はは」 「色んな潤を見てきたんだ。これからも見たいんだけど…いい?」 「あぁ。シンになら見られてもいいかな」 普通だったら引くようなこともシンの愛情表現だと思うとそれもまた愛おしく思えるんだから不思議だ。 オレも相当だな…

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