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第31話※

「言っておくがサキュバスの調合薬はまだ一度も飲んでいないからな」  いちいち前置きするということは、シラフでバルドに恋焦がれていると言いたいのだろう。  お互いの気持ちを理解し合い、ファングは初の性経験をするにあたり、少し身を強張らせながらも、例の催淫剤の瓶の中身を一気に口に含んだ。  口移しでバルドにも半分ほど飲ませてきて、二人でごくん、と喉を鳴らして嚥下する。  サキュバスには会ったことがないが、その効果は即効性があり、また強力すぎるほどだった。 「はぁっ……今すぐバルドが欲しい……」  どくん。明らかに心臓が高鳴る。 「ファング……バ、バルドも、なんだか変な気分……」 「それでいい。さ……服を脱ごう」 「良いのっ? 騎士様は結婚するまで……こ、こういうことはしちゃいけないんじゃ……」 「さあ? あくまで男女間の話だからな。前を使わなくても……後ろの穴なら、問題ないんじゃないか。それに、ここでは誰も見ていないしな……」  そう妖艶な語調で言って、ズボンの上からでも隆起したものを見せつけ、鍛え上げられていることもよくわかる尻を振って催促する。  催淫剤のせいか……いや、今は全てそのせいにしておこう。互いにそそくさと服を脱いで、向き直る。  すると、バルドの裸体を見たファングがゴクリと生唾を飲み込んだ。 「……図体に比例して、その……そこもやはり大きいのだな。しかも勃起したら、ここまで……。下の睾丸も……ど、どれだけ溜め込んだらそんなにパンパンになるんだ……」 「ファング、あんまり見ないで、恥ずかしい……」  改めて男性器の大きさを指摘されるだけで、バルドはもじもじしてしまう。  だって、オークのものはこのサイズが普通だし、人間の裸もせいぜい水浴びしている男児しか見たことがない。  バルドは一見すると騎士でなくとも駆除対象であるような凶悪そうな顔つきをしているが、それはあくまで種族特有のものであり。  好きな人物に恥じらう乙女と何も変わらない。 「……こんなに立派な逸物を持っているだなんて、いつぞやは潰さなくて良かった」  そういえばファングに股間を思いきり殴られたことがあったっけ。  子孫を残す気はないけれど、今となっては、バルドも本気でそう思う。  だって男の機能が不能になっていたら、こうしてファングと愛し合えなかったかもしれないから。

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