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第3話 至極真っ当な…
クライアントからの呼び出しに駆け付けてみるとその場所は今にも戦場に変わろうとしていた。
「社長、ご担当者様がお見えになりました」
秘書に通された会議室では氷ついたまま微動だにしない社員と鬼のような形相でモニターを眺める代表の姿があった。
「失礼します」
促されるまま椅子へと座り手渡された資料に目を通す。凡その資料を読み終えると代表に向かって数字を書き換えた資料を手渡す。
「騒ぐ程の損失ではありませんよ。御社の現在手掛けている案件で十分補填出来る額です。最終的な調整は週明けにでも取り掛かりますが、今のところは通常通りの運営で問題ありません」
「メインバンクの変更も無しですか?」
「特に問題はありませんので変更は不要です」
室内の緊張が一気に解れる。社員達の表情も若干明るくなる。
「それでは、次に…」
資料の説明を始めようとしたところで代表の手が挙がる。
「会議は以上だ。チームは業務に戻って下さい」
長時間会議室に閉じ込められていたのだろう社員達は漸く解放されたとばかりに速やかに会議室を出て行く。
「本日は急な依頼に駆け付けてくれてありがとうございます」
「いいえ、大丈夫ですよ。仕事ですから赤嶺社長」
「シンさん、今夜部屋に行っても良い?」
「オフィスで言う事なのか、それ」
いつの間にか近づいて来る相手を見上げると不安そうな表情が視界に広がる。
「良いけど、残業になるなら先に寝てるぞ」
「スペア使うから大丈夫」
「……っとに、手が掛かる社長様だな」
深夜0時を回った頃にやって来るだろう男を見上げると得意気な表情を浮かべる視線とぶつかった。
END
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