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【新生活】①
部屋中に鳴り響くアラームの音で碧央は目覚めた。
背筋を伸ばして窓から景色を見ると、夢から抜け出したことを再認識する。
「あー…やっぱり夢じゃなかったんだ」
昨日の出来事が夢であってほしい。碧央は何度そう願っただろうか。
自分の職場に臣がいて、また臣は自分のことを諦めていないと宣言してきたのだ。
正直、心のどこかで嬉しい気持ちが碧央にはあった。
長年会っていなかったとは言え、あんな別れ方をしたのだ。毎日布団の中で臣のことを思い出すくらいには碧央は臣のことがずっと心残りだった。
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「せんせー!おはようございまーす!」
「はい。おはようございます。」
新学期が始まって数日目だが、元気に挨拶してくれる子供達はやっぱり可愛い。
碧央は養護教諭という役職なので、授業で生徒と触れ合う機会はなかなかないが、それでも廊下を歩いている時に生徒と話したり、挨拶したりするのが早くも碧央の癒しとなっていた。
その中でもやはり気にかかるのはこの男。
「碧央、おはよう。」
臣はいつも自身の教室に向かう前に保健室に寄り、律儀にも毎日碧央に挨拶しにくるのだ。
「相良くん、おはよう。…ってまた下の名前で呼んでる!滝川先生って呼んでって言ったでしょ!」
「今更そんなよそよそしく呼べないよ。」
「それはそうだけど…」
「…てかさー、碧央のその呼び方そろそろやめてよ。前みたいに臣くんって呼んで?」
「だっ、だめだよ!そんなのみんなにバレたらなんて言われるか…」
「別に下の名前で呼ぶくらい普通でしょ」
「相良くんは女子高生の怖さを知らないんだよ、そういうことにはすごく敏感なんだから」
ただでさえ始業式でも周りの女子から一目を置かれていた存在なのだ。臣のことを狙っている女子は数え切れないだろう。そんな男と仲がいいと知れただけで、なにをされるかわからない。
「…ふーん。」
臣はいいことを思いついたような顔で碧央に近づいた。
「じゃあさ、2人きりの時だけでいいから臣くんって呼んで?」
「っえ!?そ、それもだめ…!」
「じゃないと今からここでキスするけど」
「へ!?」
いつのまにか顎を掴まれていて逃げ場がない碧央はまさに万事休すだ。
こんなとこでキ、キスされるよりは、名前を呼んだ方が…
「…お、臣くんっ…」
「っは…やっば…」
ううー、久しぶりに名前呼んだから緊張して声裏返っちゃった恥ずかしい…臣くんもなんか変な方向向いてるし…
「もう手、離しっ…」
チュッ。
「へ…」
「今のは碧央も悪い。」
「キ、キスしたぁ!!名前呼んだらしないって言ったのに…!」
「軽くだからいいじゃん」
「よくない…!」
「顔真っ赤にしてかわいーね碧央せんせ♡」
「なっ…!」
そう言って碧央が怒る前に臣は保健室を出て行った。
「もう…」
あんな軽いキスでも碧央にとってはとても恥ずかしいことだ、しかもその相手が臣なのだから。
心臓、まだドクドクいってる…
3年前にも感じていた、この胸の高鳴りがどんな気持ちなのか、分からないほど碧央は子供じゃなかった。
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作者から
待っていてくれた方、遅くなり本当に申し訳ないです…!
実は作者はまだ学生なので(18歳以上ではあります!!)受験やら試験やらが忙しくなかなか小説を書く時間を確保できていなかったのですが、今現在、流行り病にかかりまして…しかもそれが熱も出ない、だるさもないので、本当に元気なんです!!
なので小説を書く時間ができたということで、やっと再開できます。
忙しい時期もちょっとずつではありますが、小説は書いていたのでこれからその分をちゃんと完成させてから投稿できたらなと思っています。
また、これから私には二度目の受験が待っているので、みなさまをまたお待たせすることになるかもしれませんが、必ず完結までこの物語は書くと誓っているので、ご理解して頂けたら嬉しいです。
これからも「溺愛執着αは不憫Ωを娶りたい。」を、よろしくお願いいたします!!
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