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第11話 真顔で聞かないで

 ……何時間シてるんだろ。  こういうことって、こんなに、するもの?? 「ちょ、……と、休ませて……」  オレの中で果てた颯。でもなんか、またそのまま続けられそうな気がして、思わず泣き言を伝えると、颯がやっと止まる。ぐったり横たわってるオレの背を、ぽんぽんと軽くたたいてから、下着だけ身に着けて歩いて行った。  ……散々、上に乗られてたから分かってるけど。  歩いていく後ろ姿。すごく良い体してて、下着姿なのにカッコよすぎて、ちょっとムカつく位。  ……大学に入ってから、颯とは、張り合うことがなくなった。  あんまり会わなくなったし、会っても、すれ違うだけ。  言葉もほとんど交わさなくなって、一年以上が経ってる。  でも、意識はしてた。噂は聞こえてきたし。    そんな、颯に抱かれたとか。オレが、Ωだとか。嘘みたい。  颯のフェロモン。ヤバい。  あんなの、Ωの人達、よく我慢できてたな。颯を狙ってたΩなんて、やまほど居るだろうし、誰かがこんな風になるたび、相手、してたのかな。  あんな風な顔で、あんな風に余裕なく誰かを抱いて、あんな顔、たくさん見せてきたのかな。  ……あーなんか。  ムカつくかも。 「水、飲めよ」  颯がベッドの端に座りながら、オレにペットボトルを渡した。 「それで――――何で?」 「え?」 「何で、初めてなんだ?」 「……っ」  ……んな、真顔で聞かないでよ……!  むむむ、と口を閉ざしながら、ペットボトルの蓋を開けて、一気飲み。      

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