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第66話 Ω会議(?) 2

「あのさ、フェロモンって、飛ばさないようにできる?」  オレが聞いた瞬間、三人はきょとん、と止まって。  それから、クスクス笑い出した。 「何それ」 「こう、出ないように自由自在に、とか??」 「無理だよ? それが出来たら、抑制剤なんて必要ないでしょ」  そう言われて、確かに、と思いながらも。 「すごいヒートの時とかじゃなくて、普段の、なんか、ふわふわーてやつの方なんだけど」 「どんなのでも、Ωのフェロモンは意志の力では無理。αはできる時もあるらしいのに不公平だよね。って、どうしてそんなこと思ったの?」  クスクス笑いながら、奈美が聞いてくる。  何でだっけ? ……ああ、いつもふわふわ飛ばしまくっちゃうからだ。止められないのかなーって思ったんだ。 「なんか颯と何かあるたびに、なんか、自分から、ふわふわーって飛んでくのが分かるっていうか、香るのが分かるっていうか。なんか、反応してるのが、バレバレで恥ずかしいっていうか」 「いいじゃん、αにとったら、それって、すごく可愛いんじゃないの?」 「つか、恥ずかしいじゃん」 「えー何が? ……あ、分かった」  紗良が、楽しそうに言って、オレをまっすぐに見つめる。 「慧くん、颯くんに気持ち言えてないの?」 「う」 「だから、香りでバレちゃうのが恥ずかしいんだ」  く……。  なんで分かるんだ。まあ、まだ、好き、すらちゃんと言えずに番になってるとはバレては無いと思うけど。  むむ、と黙ってると、紗良が笑いながら。 「なーんか、慧くんて、デートしてもらった時から可愛いなーと思ってたけど。ほんと可愛いんだね」 「え?」  αでデートした時から、可愛いって思われてたってこと??  てか、可愛くないし、オレ。しかもαん時にΩの子に可愛いって思われるなんてあるの?と、謎すぎる。 「私、実は結構本気で、慧くんと番になれたらいいなーと思ってたことあるんだよね」 「えっそうなの?」  衝撃の告白が、突然。  ……でもあれ? そんな感じは全然しなかったような……? 「だって、慧くん、カッコいいしさ。あの颯くんと張り合ってるのって、かなりポイント高かったんだよ~。正直、颯くんはちょっと近寄りがたいっていうか……?」 「分かる―、なんだろうね、あの……んー、普段から頭も良さそうな感じ? 会話に気を遣うというか……」 「慧は、ほんとよくあんな風に絡んでたよね。α同士って言ったってさ、他の誰もそんなことできなかったのにさ」  皆そんな感じで見てたのか。まあでもオレも最近、よくあそこまで張り合えてたなと自分が不思議だけど。 「でも、紗良、そんな感じしなかったけど」 「うん。なんかデートしてたら……慧くん、可愛いから、違う意味で大好きになっちゃって、友達になっちゃった」 「……何が可愛いの?」 「何だろね。まあでも、今だってきっと颯くんにも可愛がられすぎて、フェロモンなくしたい位出てるんでしょ?」 「…………」  見てきたような言い方なんですけど。この話題恥ずかしいからやめたい。  あっそうだ。話題かえよ! 「あ、やっぱりこっちの方が聞きたい」 「ん? 何々?」 「あの……巣作りって、実際、どうやるの??」 「何それいきなり」  クスクス笑われる。 「颯が、巣作りしたくなったら、何使ってもいいからねって言っててさ。ネットでは調べたんだけど……巣作りって、皆するの?」  そう聞いたら、皆、ふふふー、と笑う。 「なに?」  聞きながら皆を見ると。 「何使ってもいいとか、やさしーし!」 「可愛がられてそうなの、分かっちゃうね」 「なんかいいなー慧」  聞きたいのはそっちじゃない……。と思いながらも。  そっか。それって、そういう評価になるんだ。  ……まあ。颯は、いつもそんな感じだけど。  基本、なんでもいいよ、って感じ。

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