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第81話 初デート 2
颯が連れてきてくれたのは、パンケーキが食べられるカフェだった。
「颯もパンケーキ食べる?」
「オレはこっちのホットサンドにするけど」
「そっか」
んーと、パンケーキのメニューを吟味。
クリームとかアイスとかチョコとかフルーツとか、トッピングがめちゃくちゃいっぱい。うーん、超うまそう~!!
「フルーツ盛り合わせで、生クリームと、バニラアイスのっけて、チョコソースかけてください」
店員さんに言うと、颯がオレを見て、ふ、と笑いながら、自分のホットサンドとコーヒーを頼んだ。メニューを片付けてもらって、ふと店内を見回す。なんか可愛いお店。カップルも多い。
「来たことあるの?」
「無いよ。初めて」
「オレが甘くないのがイイって言ったら、どこだったの?」
「すごく美味い食パンが食べられるとこに連れて行こうと思ってた」
「今度行きたい」
そう言うと、颯は、ふ、と微笑んで、イイよと頷いてくれた。
「……颯は、モテそうだなー」
「ん?」
「あ。ていうか。モテてるの知ってるし、モテそうっていうのも変なんだけど」
「ん」
「さらっと、カッコいいことするから。絶対モテるよね」
そう言ったら、じっと見つめられた後、クッと笑われる。
「何でふくらんでんの」
「え」
あ。ほんとだ。なんかちょっと、膨らんでた。
あれおかしいな思わず……。
「怒ってんの?」
「……怒ってはないんだけど。……モテすぎるのはちょっと……」
やっぱちょっとやだよな。
むむむ、と眉を寄せていると、颯は、クスクス笑いながら、オレの両頬を、片手で潰した。口がちょっと突き出る。変な顔になるから、やめてよと、またその手から逃れると。
「……デート先、調べたのとか初めてだけどな、オレ」
「え」
「大体、女子が色々調べて、ここに行きたいーっていうのがほとんどだったから」
「……そうなの?」
ん?? てことは、それは、オレの役目ということか??
でもオレ女子ではないしな??
「……オレ、調べた方がいい?」
「ん? ああ。いや、別に」
別にってことは、調べてもいいんだぞってことかな。
よし、今度調べよう。と思っていると。
顎に軽く手を当てて、んー、と考えていたっぽい颯が、ふ、と笑った。
ちょっと可笑しそうに。
「何?」
「いや……何て言うか……」
「うん」
颯がはっきりしないの、珍しい。
なんだろ。なんか、言いづらいこと? ちょっとドキドキしながら待っていると。
「慧、何食べたいかなーとか。……どこ行ったら喜ぶかなとか」
「――――……」
「なんか、そういうの考えながら、店探したのとか。初めてだなと思って」
「――――……」
「……ん、なんか。新鮮」
ふ、と。照れたような顔で、笑う。とか。
「――――……」
撃沈、なんですけど、オレ。うわーん……。
颯の言葉を、理解した瞬間。
ぼぼ、と真っ赤になったと思う顔。テーブルに突っ伏すと。
「けーい?」
クスクス笑って、オレの頭をつんつんしてくる颯。
もう無理。つか、オレが真っ赤なの分かってるくせに。つんつん呼ばないでよ。ちょっとほっといて。
「耳、真っ赤……」
笑みを含んだ、優しい声で言って、すり、と耳に触れられて、がば!と起き上がる。
「~~~っっ」
声も出せず、耳を押さえたまま、颯をむむ、と睨んでしまっていると。
颯は口元隠してるけど。やっぱり笑ってるのはめちゃくちゃ分かるし。
颯、オレ、ほんと、息できなくなるから。
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