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第125話 真面目な話
昼食を早めに食べ終えてから、昴と一緒に立ち上がった。
「じゃあ出しに行ってくるね」
誠と健人に言うと、「まあ穏便に、な?」と健人に笑われる。うん、と笑顔で頷いた。食器のトレーを片付けて食堂から十号館に向かって歩き出すと、昴がオレをチラッと見る。
「真面目な話、一回しとくからちゃんと聞いて」
「うん?」
「お前、今はΩなんだからな」
「……うん??」
「αん時より色々気をつけろよ? 番が居るからって、ただ激しいフェロモンが他のαにきかないってだけなんだし。βとかだって、フェロモン関係なく性欲はあるんだからな」
「…………」
そんなの知ってるけど、と思いながらも、何でいまこれを改めてオレに言うんだろうと考えて、しばらく黙って、悩んでいたのだけれど。
「昴、βのこととか、今、オレになんの関係があるの??」
言うと、ものすごく嫌そうに昴に見られた。
「だから……さっきみたいに、今ヤってきましたみたいな感じで、そこらへん歩くなって言ってんだよ。変な奴引き寄せたら困るだろ」
「やっ…………ってないし!!」
かああっと赤くなりながら、反論するけれど、昴はじろりとオレを睨む。
「半分ヤってたようなもんだろ」
「し、してないし……!!」
キスしかしてないもん……!!
「お前、ほんとに気付いてないみたいだから、一回言っとくけど……αん時から、お前をそういう意味で好きな奴、居たからな」
「ん……?? オレ、αん時はわりと告白されてたし……一応知ってるけど」
「そっちの意味じゃねえよ」
「そっちって?? そういう意味とか、そっちとか、よく分かんないんだけど……」
首を傾げると。
「颯が、言ってたろ。αん時でも慧が良かったとかさ。慧がαのままなら我慢したって」
「あ、うん」
「そういう意味で思ってたの、颯だけじゃねーから」
「……え」
「意味分かった?」
「……え、誰??」
「今更言わないけど。お前、部の先輩達にだって、やたら可愛がられたろ。忘れた?」
「……あれは皆可愛がられてたでしょ。後輩だし」
そう言ったら、昴は、はー、と大きなため息。
「もういい。でも、覚えとけよな。αだったからお前が助かってたのは絶対あるし。今もΩになったその時から、あの颯とくっついたから助かってるっていうのは、大分あると思うから」
「……助かってる?」
「狙おうってする奴が、颯相手だと、無理ってなるだろ」
「……まあ」
それはそうかな。うん。颯に勝てる気とかしないもんね。誰も。
「えー、でもさ。そこまでΩのオレを狙おうとする奴がいるかが疑問だけど。だって可愛いΩ、多いじゃん」
オレと仲良しの三人Ωだって皆可愛いし綺麗だ。美人が多いよな、Ωって。うんうん。
「……オレには全く分かんねーけど、そう言う意味で、αとかΩ関係なく、お前を好きになる奴は、居るから。そういうもんだって思っとけよ、もう」
最後の方はちょっと疲れ気味で、昴が言うので、一応、うん、とだけ頷いてみる。
「ていうか……オレには全く分かんねーけどって、なんか、失礼じゃない?」
ぷぷ、と笑ってしまいながら言うと、昴はオレを見て、苦笑い。
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