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第201話 イケメンコンテスト開始
ライブで使っていた楽器たちが片付けられて行って、四人のコンテスト出場者がステージ右側に並んで立った。
さっきまで歌詞が流れていたでっかいモニターには、今は四人の名前が書かれていて、多分あれ、名前の横に投票数が表示されるようになってるんだろうなあと。もう、ドキドキが半端ない。
「なーなー昴、何あれ、めっちゃドキドキする……!」
「まあでも投票で決まるんだから、あんな感じだろ」
「そーだけど、丸見えじゃん、票が―!」
誠がオレを見て、「信じてるんだろ、颯の優勝」と言う。そう言われると、う、と言葉に詰まる。
「いや、信じてるんだけど。ドキドキしないかって言ったら、それは別って言うか」
めっちゃくちゃドキドキしてるオレの視線の先で、颯が他の候補の人達と一緒にモニターを振り返って、何か言って、笑ってる。
わーー颯は普通の顔して笑ってるしー。
カッコいいけど……オレは、ドキドキしすぎて、なんか、怖い……!
不意に大きな音楽が流れ始めて、ライトがまたクルクルと回って、辺りを眩しく派手に照らす。
ステージの真ん中に居る司会者の人たちにスポットライトが止まった。まだ颯達は、ステージの右側に並んでる。
「皆さん、こんばんはー!」
めっちゃハキハキとしゃべる司会者の二人。ばらばらと「こんばんはー」と小さく返事をした観客に、司会者はもう一度、「こんばんはー!」とマイクを向けた。今度は皆、でっかい声で「こんばんは」を返した。「ありがとうございます!」と司会者たちは笑顔。
「イケメンコンテストにお集りいただき、ありがとうございます!」
「こちらには現在、四人の候補者に来ていただいています。皆さん、個性も魅力もたっぷりのステキなイケメンさんたちです!」
司会者たちが言うと、ライトが颯たちにもあたった。
わー! と、拍手喝采。
「推しのイケメンを見つけて、ぜひ、応援してくださいね!」
「それでは、ルールを説明します!」
そう言って、司会者たちが見上げたモニターには、投票システムの図解がされていた。
「まず、事前投票は、大学の文化祭の特設ページにて、一週間前から開始していて、先ほど十七時に締め切っております」
ふむふむ。
ちゃんと聞いておこうと思って、頷いて聞いていると、「真剣すぎだから」と昴に笑われる。「聞こえないから黙ってて」と、むー、と眉を顰めると、誠と健人にも笑われた。
「そして、今このステージは、ライブ中継で、特設ページで配信されていまーす」
パッと画面が切り替わって、ステージが画面に映ってる。
へー、と昴が言って、スマホを操作。「あぁ、ここか」と言いながら、オレに見せてくる。
「おお。すごい。これ、誰でも見れるの?」
「大学のホームページから入って、特設ページに行けば見れるけど。そんなに需要無いんじゃねえのかな? あーでもあれか、SNSとかでここのリンク張る奴が居たら、すごいことになりそう?」
どうなんのそれってー??
皆が好きに投票できちゃうってこと??
「皆さん、説明を続けまーーす!」
「今既に、事前投票は集計されていて、これから先に発表します! そこから、本日の様々なイベントを通して、それを見た方に、リアルタイムでの投票をして頂きます」
「二重投票などの不正を防ぐために、メールアドレスかSNSのアカウントでの認証が必ず必要になっています。基本、おひとりさま一票です。事前投票された方は、リアルタイムでは投票は出来ません」
「へー、結構ちゃんとしてるんだな」
「だな」
隣で健人と昴が、スマホでも説明を見ながら、そんなことを言ってる。
「票の発表の仕方はこんな風になります」
その言葉とともに、また一枚の説明の画像。
「まず事前投票の発表。それから、コンテスト前半までは随時、票が加算されて、このモニターで見られるようになっています。コンテスト後半になると、画面上の票は動かなくなります」
「最終発表時に、全ての票が加算されて、結果発表となります!」
「どうですかー? 皆さん、分かりましたかー?」
司会者の質問に「はーい」と声が上がる。うん、まあ。難しくはないけど。
「事前に認証をしてくださいとお伝えしていましたが、まだされてない方はいらっしゃいますかー? いらしたら今、五分取りますのでのうちに済ませておいてください!」
「よろしくお願いします!」
よし、これで全部説明したかな? なんて司会者の人達が、コントみたいに話してるところで、匠たちがやってきた。
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