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第204話 何で番?
「事前投票はこのような結果になりました。そして、これからは、リアルタイムで投票していただけます。このステージを見て頂いて、この人!と決まった段階で投票をお願い致します。その投票は即集計に入り、モニターで確認できます。ここまでよろしいですかー?」
司会者の声に、皆が返事を返す。
「はい、ありがとうございます! そして、後半になりますと、モニターの数字は完全に隠れて、見えなくなります。最後に、十分間の投票時間も設けますので、最終的な集計をして、皆さんに結果をお知らせしますので、最後まで楽しんでください!!」
一人の司会者が話して、もう一人が拍手して盛り上げたので、会場にも、わーっと拍手が起こった。
「このコンテストは、会場の皆さんの応援で成り立ちます! 推しのイケメンを見つけたら、全力で応援・拍手をお願いします!」
「応援する準備は、いいですかーー!?」
より一層、わぁっと盛り上がる。
「それでは、先ほどからあちらにフォーマルウェアのお姿は見えていたと思いますが、お一人ずつ、イケてる素敵なウォーキングで登場してもらいましょう」
「順番は、事前投票の四位の方からになります! この順位ですが、当然ですが決定ではありません! リアルタイムの投票で、あっという間に結果が変わることもありますので、まだまだ分かりません! 皆さん、推しの方の応援、よろしくお願いします!」
「盛大な拍手でお迎えください~!」
そんなアナウンスが流れて、音楽が流れて、スポットライトが候補者の一人目に当たる。
呼ばれた一人が、ステージ奥にある、一段高いところへと階段を上った。一番上でポーズを取って、真ん中の階段をこちらに向かって下りてくる。その間に、名前やプロフィールを紹介される。
司会者の居るステージに降りると、そのまま観客の間の通路へと進んでくる。皆の視線を集めながら、端まで歩き、ポーズを決めると、またステージに戻っていった。司会者の隣にたどり着くと、「ありがとうございました! 続いては」と二人目が呼ばれる。
ステージ後ろのモニターで、今の人に、票が入って数字が増えていくのが分かる。
一人目も二人目も、やっぱり、それなりにカッコいいとは思う。
さすがに、イケメンコンテストなんかに出るだけば、あるのだと思うのだけど。
次、颯。
ドキドキする。とりあえず転ばないで! ……ってオレじゃないから転ばないか。んー、じゃあなんだろ!
えーと……とにかく、頑張って……!!
なんだか一人で心の中でツッコんでみたり、とりあえずもう心の中、狼狽えてるのが自分で分かる。
ぎゅ、と手を握った時。
颯が歩き出した。
横の階段を上ってくだけ、なのだけど。
――ああ、なんか、すっごく、カッコいいな。
ぽー、と見惚れてしまう。
全然緊張してないみたいで、背筋を伸ばして――なんか優雅な感じ。
少しだけゆったりとした歩き。なんか、堂々としてて。
クールで落ち着いた感じで、通路の端で止まると、観客を見回す。
「――カッコいい……」
あ。やば声に出てた。誰にも聞こえてないと思うけど。
口元を押さえた時。颯がふっと、こっちを見た。
多分、目が合った瞬間。
ふ、と目を細めて、ふんわり笑いながら、辺りを見ながら向きを変えた。
観客、主に女子が、きゃーきゃー騒ぎだす。
オレはもう心臓が痛すぎて、息が出来ない。
颯の票が、伸びてくモニターをバックに、颯がステージへと歩いて行く。
ていうか後ろ姿だけでもカッコイイって、何。
……何で、オレ、颯と番なんだっけ???
どんな美女でも、颯を好きになりそう。……運命、ではあるけども。
ただただ純粋な疑問が浮かんだりもしている。
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