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【第一章 夜に秘める】月が見た凌辱(14)

 囁きは首筋をゆっくりと上へと伝う。  唇を重ねられ、アルフォンスは咄嗟に目を瞑った。  押し当てられた唇がゆっくりと開かされる。  ぬるぬると挿ってくる舌を受け入れながら薄く目を開けると、熱っぽい黒曜石と視線がぶつかった。  抑え込むような深いくちづけ。気が付けば、あの熱い手に靴下まで脱がされていた。  屋根のない天幕。  外気に晒される肌が、しかし少しも寒くない。  熱を孕んだ濡れたものが胸の突起を執拗に舐め回していた。  丹念に、嬲るように。 「やめっ……」  小さな呻き声。  抵抗する腕に、もはや力は入らない。  舌先でつついて、唇ではさんでついばんで。  そうかと思えば音たてるくらい強く吸って。 「はあっ……」  執拗に加えられる乳首への愛撫に、アルフォンスの唇から吐息が漏れた。 「敏感な身体ですね。誰かに抱かれたことが?」

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