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【第一章 夜に秘める】屈辱のくちづけ(17)

 身体の奥へ押し挿るときですら、ゆるゆると小刻みに与えられる快楽。  漏れる喘ぎを抑えることなどできようか。  喜悦に揺さぶられ、身体の内側から作り変えられるかのよう。  自由を奪われ犯されているにも関わらず、こんなにも甘い秘めごと。  簒奪王の熱い腕に抱かれると、何も抵抗できなくなるのだ。 「こんなの……きもちよくなんかない。こんなの……愛なんかじゃない」  うわごとのように繰り返される言葉に、カインの返事はすべて「愛している」だ。 「許してくれますか。あなたの内部(なか)で果てたい」  アルフォンスは唇を噛みしめた。  腹の内側をぬるぬると這う感触と、最奥を穿つように放たれる精。  ぞわりと背骨がとろけそうになる。  許さない、やめろ──なんて言葉、声にならない。  ともすれば、腰もはしたなく上下に揺れてしまいそう。 「アルフォンス、きれいだ……」  汗で額に張りついた黄金の髪を払ってやりながら、カインは静かに微笑した。      ※  ※  ※

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