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【第ニ章 溺れればよかった、その愛に】約束はきっと儚い(7)
「ところでグロムアスの都はいかがですか? 実際、かなりうろついていらっしゃるようですが」
やはり行動は王に筒抜けのようだ。
アルフォンスは舌打ちしてみせた。
「こんなところにずっと閉じ込められていたら息が詰まる。ちょっとくらい外に出たっていいだろう」
「それは……できるだけ快適に過ごしていただきたいのですが。ですが、あまりうろつかれても安全を保障できませんし」
「安全というなら俺に剣を持たせろ」
低い笑い声。
「それは……」
そうして差し上げたいのはやまやまなんですがと、カインの声はどこか楽しげだ。
「でもそうすると、今度は僕の首が危うい」
「分かってるじゃないか」
交わす言葉はやわらかい。
ほだされてはならないと、アルフォンスは視線をそらす。
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