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【第ニ章 溺れればよかった、その愛に】約束はきっと儚い(12)

 椅子に腰かけるカインの眼前に立って、アルフォンスは彼を見下ろした。 「疲れてるんだな。優しくしてほしいか?」 「アルフォンス殿下?」 「なんて、この俺が言うとでも思ったか。弱みを見せるんじゃない。全部泣き言だ。己のしたことの報いを受けて、せいぜい苦悩しろ」  歯切れよく切って捨てたアルフォンスに、カインの肩が震えた。  かすかに漏れる笑い声。 「ああ、いっそ罵倒が心地良いです。一生刻み付けておきますよ、あなたの言葉」  ひとしきり笑いながらカインは包帯を右手で擦る。 「この包帯も一生外しません」 「何言ってるんだ」  いつのまにかフリードの姿は消えていた。  消毒液で染みができた床を拭うため薬剤を取りに行ったか。  あるいは妙な気でも利かせたか。  ──ふたりきりだ。

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