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【第三章 憎しみと剣戟と】欲望を呑みこんで(6)
「アルフォンス殿下、ご存じなら王の居所を言うのだ」
堅苦しい口調はロイらしくないように思えた。
それは大勢の部下らの前での、将としての彼の姿なのだろう。
腕組みをしたままアルフォンスは剣の切っ先を見つめていた。
「カインを探し出してどうする気だ」
「それは……」
ロイの目が一瞬泳いだ隙を、アルフォンスは見逃すことはなかった。
一歩、歩を進めると同時に腰を落とす。
背後に控える兵らが反応するより早く右拳を固め、ロイの手を弾いた。
「あっ……!」
長剣が宙を舞い、音もなく絨毯に転がる。
間髪入れずアルフォンスはロイの手首を捻りあげた。
「お前、カインを裏切ったな」
ぐっと呻きながらロイは顔を歪める。
痛みだけではない。
アルフォンスとの関係が崩れた悔恨の念がそこには見てとれる。
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