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【第三章 憎しみと剣戟と】欲望を呑みこんで(12)
「やめろ。こんなところで……いやだ」
ディオールやロイにしたように投げ飛ばせばいい。
腕をつかみ脅せばいい。
カインの脛を蹴って上体を押しのけ腕の中から転がり出たら、すかさずその首に手刀を叩きこめばいい。
あるいは不埒な腕をつかんで地面に引き倒してやったって構わない。
「やめ……っ」
なのに、身体は動かない。
快楽への期待なんかじゃない。
もちろん、これは愛なんかじゃない。
「やめ、カイン? ほんとにいや……」
無言で足を開かされた。屹立が後孔に押し当てられる。
「ま、まて……っ」
愛撫も何もない。圧し掛かるように挿入ってくる。
「いたっ、んんっ……」
強引な挿入に、アルフォンスの上体がのけぞった。
いつもはゆっくり、つぷつぷと快楽を探すように挿入ってくるのに。
強引にねじ込まれた最奥は悲鳴をあげる。
初めて犯されたときですら痛みは感じなかったのに。
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