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【終章】黄金の祝祭(11)

     ※  ※  ※ 「どこへ行くんだ?」  王宮の裏側に設置された小さな扉を出ながらアルフォンスはもう一度尋ねた。  つながれた手にぎゅっと力が込められる。  王宮は流行を取り入れた瀟洒な造りの建物だが、さすがにここは簡素な木の扉である。  動かすたびに蝶番がキシキシと音をたてた。  これは今のカインの立場をそのまま表しているのだろう。  先王カインが起こした昨年のクーデターは失敗だったらしい。  フリード王は生きていて玉座に返り咲いた──それが大方の見方である。  そうなるとロイ以上にカインの立場は危ういものとなろう。 「フリードはお前の功を認めている。正式な声明を出せば疑惑はすぐに消えるはずだ。そうしたら前みたいに要職にだって就けるさ」  先を行くカイン。「えぇ、まぁ」なんて言って煮え切らない。  フリードの立場を慮っているのだろうか。 「まさかフリードが王だったとはな。何が《簒奪王》だ。とんだハッタリだ」  悪態に、はじめてカインの表情が緩む。 「《簒奪王》じゃなく、身代わり王だったとでもいうか」 「上手くないよ」  笑い声が重なる。

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