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【終章】黄金の祝祭(14)

「嫌だ。馬は揺れるじゃないですか」 「んん? そりゃ、馬は揺れるが?」  抵抗するカインの手を引っ張りながら、アルフォンスとしては戸惑うばかりだ。 「気持ちが悪くなるんです。揺れるから……」 「はぁ?」  だから戦場にも馬車で乗りつけていたのにと、カインときたらこの状況にも関わらずシレッと言う。 「……お前、元軍人だったよな」 「ええ」 「グロムアスの騎馬部隊といや歴戦の将ですら震えあがる存在なのに、その長のお前が馬にも乗れないって……」 「笑いたければ笑ってください。人にはどうしても苦手なものがあるんですから」  もはやカイン、開き直った様子だ。  状況を考えてものを言えと、アルフォンスはさすがに苛ついた。 「……じゃあ、俺の後ろに乗れ。背につかまるといい」 「いや、そんなことしても揺れるじゃないですか」 「揺れるじゃないですかって、お前な……」  わりと本気で怒りを覚えたときのことだ。

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