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【終章】黄金の祝祭(19)
今度は強引に手を取る。
街の中心に近付くにつれ、街路は商店や人であふれた。
はぐれないように指を絡めると、アルフォンスも強く握り返してくる。
「どこへ行くんだ?」
あの丘に、もう一度あなたと二人で──そう告げるとアルフォンスは笑う。
「まさか歩いてか? そうだな、お前は馬に乗れなかった」
街の外れの空いた道を通れば、馬の足ならすぐに着くのに──完全に小馬鹿にした物言いに、カインはぐっと喉を詰まらせる。
「……途中まで船で行ってもいいんですがね。運河が丘の近くまで続いているので」
「………………」
今度はアルフォンスが黙りこむ番だ。
ただし、手は繋いだまま。
この手は近いうちに離されるのだろう──カインは覚悟している。
フリードに王位を返したことで、カイン王の客人扱いだったアルフォンスがこの国にいる理由はなくなった。
姉王ソフィーとともに行ってしまうかと思ったが、嵐のように来て風のように去っていった姉に、アルフォンスとて同行はできなかったようだ。
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