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第30話 ひとりのオメガ・ふたりのアルファ(*)(4/4)

 して欲しい。  知って欲しくない。  矛盾の嵐が体内で吹き荒れるまま、雫は白旗を上げざるを得ない。 「気が狂うまでお預けされる方が好き……? なら……七月。延々焦らしてあげて」 「はい、久遠さま」 「ゃぁぁ……っ!」  雫の、もうとっくにぷくりと育ち、色を濃くした胸の尖りに七月の指が取り付くと、慣れた手つきで摘まんだり潰したりされる。性感帯の乳首を弄られると、とても我慢が難しくなる。 「ぁ……ぁっ、さ、わ……ぁっ」  背後にいる七月に胸部を明け渡すと、もう駄目だった。久遠に言葉で責められながら、太腿を撫でられるだけでぞくぞくする。膝が閉じられなくて、身体を左右に揺さぶりながら、いつしか雫は腰を上げていた。 「可愛いね。こんなに濡らして……ね? 雫……」  うっとりした表情で、雫から下着を取り去ると、久遠は離れた左右の膝の間から局部を睥睨する。 「こういうの、好き……? それとも……好きじゃない?」 「ぁ、触っ……て、さ、わって……っ、願……っ、好、だ、から……ぁっ」  両膝が力なく左右に倒れ、上を向いた雫の性器とその奥の蕾が露わになると、久遠の眼差しが切なげに滲む。 「発情したオメガは濡れると聞いたけれど……」 「言わ、な……っ、ぁ、ぁっ、それ、しな……っ、乳首、融けちゃぁ……っ」  その頃には、七月に育てられた乳首がぴんと上向き、久遠の眼前に晒された蕾を隠すこともできなかった。ひくひくと空気に晒された後蕾がてらてらと濡れ光り、待ち望んでいるものが何かを、言わずもがなに表現していた。 「好きだよ……雫」 「ぁ……ん、んむ……っん、はぁ……っ、ぁ、ぁっ……ぅ」  雫の濡れた視界には、久遠の上気した顔が大写しに迫っている。自由になった雫の腕が、背後から腕を伸ばす七月の肘の内側と、久遠の腕を引き掴む。 「して……っ、も、挿……て、願……っ」  哀願した途端に久遠の表情が歪む。同時に髪を梳かれ「うん」と言われた。 「久、遠……っ。七、月……っ」  名を呼ばれると、七月に背後から耳朶を甘噛みされる。堪え難い顔をした久遠は、雫の上を向いた茎の裏側に指を這わせ、そのまま後孔の襞をなぞる。  久遠に後蕾を乱されると、雫は上げたことのない扇情的な甘い声で鳴いた。

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