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第39話 愛咬(*)(3/5)
「雫……きみを、もらっていい……?」
久遠が滲んだ声で処女地に舌を這わせ囁くと、さらに熱が上がり、鼓動が乱れた。久遠のものに。七月のものに。比較不可能な衝動が雫の肋を叩き、膨れ上がる。
「ぃ、ぃ……っ、欲、しぃ……っ」
思わず、呟いていた。
「ふたり、とも……っ、一緒に……、中、に……っ」
「雫……?」
「雫さま……」
意味を履き違えたかと戸惑うふたりのアルファに、雫は腕を伸ばして縋る。背後にいる久遠の肩を掴み、前方にいる七月の袖を引いて、口にした言葉の意味を正確に伝えようともがく。
「おれ、の……好きな、ひと、っ……だから、さ、んにん、い、一緒に……っ」
発情促進剤で飛んでいた時でさえ、久遠も七月も順序を守り紳士的な態度を崩さなかった。互いを牽制しながらするセックスは、雫を守るため、衝動に流されまいとするために必要だったのだと今はわかる。だが、順番を付けずに愛したいから、ふたり同時にしたい。
「ですが……」
七月が躊躇の声を上げる。雫に負担を強いることを、憂いているのだ。
「本気……? 僕は、いや、僕も……七月と同じく、きみを大事にしたいのだけれど……」
アルファであるふたりが躊躇う気持ちはよくわかる。でも、理由も動機もオメガである雫の方にあった。
「ん……っ。好、き……っ、だから、したい……。他に、理由、いる……? きみ、らが、ぜんぶ……おれに注いで、くれれば……っ」
頭の片隅に、子づくりのことがあることは、否定できない。だが、したいという気持ちに嘘はない。三人で生きると言った、その意味と覚悟を、雫は共有したいと願う。
「ん……ん……っ」
久遠の怒張が緊張を知らしめるように、雫の壁にぴたりと張り付き、どくどくと脈打つ。雫の昂りを握った七月の手が、葛藤に震える。ふたりの動きが止まり、考える時間を経たあとで、雫は再び口を開いた。
「ぉ、願ぃ……、ねが、ぃ、久遠……七月……っ」
我が儘だとわかっている。拒まれれば、引き下がることも考えるが、諦めはしないだろう。
やがて背後で久遠がため息をつき、処女地に汗の滲んだ額を付けた。
「わかった……しよう」
「久遠さま……」
「雫が言い出したら……僕らは逆らえない。きみなら、わかるだろ?」
「それは……、……ですが」
七月が両手で雫の頬を挟み、その目を覗き込む。
「あなたは――本当に、望んでいるのですか?」
ふたりのために無理をしていないか、確かめる視線を絡め、雫に嘘がないかを確認する。
「ん……望んで、る……。きみとも、久遠、とも……したい。さんにんで、したい」
言葉を発するのが苦しくなるほど、久遠と七月に与えられる快感は深い。ひとつになることで結ばれる絆を、雫は堅く信じた。背後で身じろぎした久遠が、剛直の挿入されている雫の後孔へ、さらに指を沿わせ、余地を探る。
「散々したから、まだ、柔らかい……。七月……手伝ってくれ。雫が、余分な力を抜けるように、なるべく、楽に挿入できるように……」
「……正直、私も、あなたがたとひとつになる想像を、しなかったわけではありません……ですから、協力、いたしましょう」
「ぁっん……っ」
久遠の代わりに乳首に指を這わせる七月に、再びキスをされる。甘えるような、許しをこうような、柔らかく静かな接触だ。久遠は片手で処女地をなぞり、愛咬の準備をしながら、もう片方の指で雫の後蕾を拡張すべく、ゆっくりと抽挿をはじめる。
「は……ぁ、ぁっ……ぃ、そこ……っ」
言葉にならない愉楽が、久遠を食んでいる中の壁が押されるたびに湧く。七月はくちづけを続けながら、雫の乳首の片方と、濡れそぼる屹立を、優しく捏ねるように弄ぶ。
「こんなに濡らして……あなたは、覚えが早くて……愉しくなってしまいそうです」
「んっ……ぃ、好き……っ、ぁ、ぁあぁ……っ」
やがて久遠の指が、雫の後蕾へ増やされた。
「ぁん、んっ……す、好き……っ、それ、ぃいぃ……っ」
中を探る久遠は、少しずつ圧を加えながら、雫に快楽を与え続ける。雫と向き合う形でいる七月が、そっと雫の下腹を押すのに合わせ、久遠が腰を回し中を抉ると、強い快楽に脳が痺れるほど感じてしまう。
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