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第31話 美味しい身体
――ねぇねぇ、知ってる? 食べ方でセックスの仕方がわかるんだってぇ。
そんな会話が聞こえた瞬間、枝島の食べ方を思い出して、頬がとても熱くなった。
枝島は美味そうに食べるから。そんなふうに俺は枝島に抱かれてるのかなって、思って。
「……治史さん」
俺を呼ぶ声が掠れてたから、ゾクゾクした。
ひどく、いやらしくなりたくなる。そんな熱っぽく見つめられて、声が掠れるほど欲しがられてるんだって思うと、もっと興奮して欲しくなる。
「ここに……早く」
だから、自分からヒクついてる孔を見せつけて、その孔を自分の指で拡げて見せた。
「欲し……ぃ、あっ」
気持ち、いい。
枝島のペニスの先端が孔に押し付けられて、たっぷり塗ってあるローションがいやらしい蜜音を立てただけで、ぞわりと、背中に快感が走る。
もっと奥まで来て、欲しくなる。
「あぁっ」
枝島の食べ方はとても大胆だ。大きな一口で平らげていく。腹がとても空いている感じ。あっという間に食べてしまう。
「ぁっ……」
寡黙な口がせわしなく動いている。
ガツガツと食べていく。
ほら――。
「ぁ……ンンンンンっ」
今みたいに。
「あぁっ」
窓ガラスに縋りつきながら、抉じ開けられる快感に甘く啼いて、その吐息分、窓ガラスが曇った。
「は、ぁっ」
繋がったところ、枝島のでいっぱいに広げられたところが、その熱でトロトロになっていく。
「やば……」
「あ、あ」
「止まんない」
「あっ激し、ぃ、あぁぁっ」
窓ガラスに手をついて、その手をいっぱいに伸ばして、突っ張るようにしていたけれど、枝島の腕が肩を押さえて、力強く俺を背後から抱き抱えた。その瞬間、中をグチュりと擦り上げられて、甘い悲鳴が。
「あ、見えっ」
枝島に窓ガラスへ押しつけるようにされると、すぐそこ、数メートル下を行き交う人たちがよく見えた。ちょうど右から左へとカップルが話をしながら通っていく、その口元さえ見えるほど。
俺が見えたってことは、向こうからも見えるってことで。
あのカップルがふと顔をこっちに、頭上に向けたら、きっと見え――。
「っ、締まった」
「あ、だって、これ、あぁっ」
奥に、捩じ込まれる。
その心地良さがたまらなくてガラス窓に指先、爪の先が白くなるほど縋り付くと、その手をあやすように枝島の指が触れた。優しく撫でられて、指の付け根にあるホクロに指先が触れる。
「あっ」
枝島の大きな手が重なる。
「貴方の裸を見たことある奴全員に」
「あぁっ」
長い、節のところが骨っぽい指が長さを比べるように俺の指と指の間に置かれて、その重なりかたに、とても身体の奥がジンと熱くなった。
「見せつけたくなる。今の、治史さんを」
「あぁぁっ」
奥深くをズンと刺し貫かれた瞬間、自分の喘ぎに曇ったガラスに映ってた。
枝島とセックスしてる時の自分が。
夜景とは言えないくらい街の灯りが近くて、ホテルの窓ガラスだから聞こえないけれど、普通のマンションだったらその会話すら聞こえて来そうな、俺の甘ったるい喘ぎ声も、セックスのやらしい水音も、全部聞かれてしまいそうなここで。
背後から、激しく責め立てられて、たまらなく悦がってる自分が。
「あぁっ」
こんな顔してるんだ。
「あ、あぁ、そこっ」
やらしい顔。
「ここ?」
そこをして欲しくて、自分からも腰をくねらせると、枝島の大きな手が片手だけ腰に添えられた。今度はその手に俺が手を重ねて、もっとして欲しいとねだるように、奥でキュンキュンしゃぶりつく。
「そこ、気持ち、ぃ」
しゃぶりつく内側を枝島のカリが引っ掛けるように擦ると、頭の芯が溶けてしまいそうなほど気持ちよかった。そして、窓ガラスに映る自分の顔もとても気持ちよさそうだった。
「誰も見たことのない、治史さんの背中……知ってました? ここにもあるんだ」
「あっ、あっ、あぁっ」
突かれる度に啼きながら、肩のあたりに歯を立てられて、その刺激にキュッと孔が枝島のことを締め付けた。
「ここに」
後ろから、すぐそこで囁かれるの、ゾクゾクするから。
「ホクロがある」
「あっ」
「肩のところ」
「あぁっ」
もっと、して。
「きっと誰も知らないっすよね」
「あっ……ン」
振り返ったら、奥がキュンキュンするくらい、枝島の表情に興奮した。
「締まっ」
「ああぁっ、あ、あ、あ」
これ、溶けそう。
「あ、あ、あ、イク」
「って、治史さん」
「ン、あっ……イクっ」
繋がったところが全部、枝島の熱で溶かされそう。
「あ、イクイクっ」
「っ、俺も」
「あぁぁぁぁぁっ」
激しく揺さぶられて、突き上げられて、最後、一番奥に来た瞬間、きつく、その腕に抱き締められて、たまらなかった。そのまま達するくらい、抱き締められて蕩けた。
「あっ……」
気持ちいい。
「っ、すげ、中、が」
「あ、ン」
もっと、したい。
「……枝島」
今度は。
「ぁ、っち、でしたい」
その顔を見ながら、責められたい。
「ベッド、あぁぁ」
ずるりと抜ける拍子にも甘く僅かに達した。
「座って、枝島」
言われるままに座った枝島の上に、新しいゴムをつけたペニスに、そのまま、跨っていく。
「あぁっ……ン」
向かい合わせで、ズブズブと、俺の中いっぱいに捩じ込まれていた熱を咥えていく。
「あっ……あぁ」
「っ」
「あ……」
気持ち、い?
「治史さんっ」
「あ、待っ、俺が動くから」
美味い?
俺の中。
「あ、あぁっ、枝島っ」
「っ」
「キス、欲し」
そして、大胆に、大きな一口で平らげられていく。
腹がとても空いている感じに、ガツガツと。
「ん、もっと、枝島」
食べられたくて、奥がペニスにしゃぶりついた。
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