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第50話 ここ、まで

「あぁっ……ン、あっ」  枝島の部屋に甘ったるい自分の声が響いてる。 「あっ」 「ここっすか?」 「ンっ」  頷いたような、ただ激しく後ろから突き上げられた衝撃でそう見えたような。 「ここ、治史さんの好きなとこ」 「あぁっ激し、ぃっ……イクっ」  戸惑う、だろ。  抱かれたくて、ショッピングモールからの帰り道、ずっとずっと、身体がうずうずしていたなんて。電車を降りて、駅からは少し歩く枝島のマンションに戻って、すぐ、玄関でまだ靴も脱いでないのに濃厚なキスをされて、嬉しかったなんて。そのまま抱かれたくて、背中に手を回す自分なんてさ。  ショッピングモールでは何も買わなかった。ただぶらぶらしながら、ずっと話をしていた。和食器はいいのがあったけれど、こっちに住んでいるわけじゃない俺には今のところ不必要だし。向こうに戻れば、自炊をろくにしない俺にはそれこそ、不必要だから。  買わなかった。  黒の和食器。枝島もとても気に入っていたみたいだけれど、手に取ってじっと眺めて、けれど買うことはなかった。  ずっと一人暮らしで、今まで自炊をしっかりしていた枝島も特に今のところ不便じゃなかったんだろ。一人で自炊するだけなら今で充分って。  だから眺めるだけで終わった。  あのダイニングテーブルだってこの部屋に置いても、だろう。  もう小さいけれどテーブルもあるんだ。ソファもある。特に必要じゃない。  素敵だなと、思っただけ。  一人暮らしには必要ないし。  俺も戻ったら、必要ないから。 「治史さん」 「っ」  後ろから責め立てていた枝島が俺の脚を抱えて、一旦、それを引き抜くと、向かい合わせに俺を抱き締めた。 「ぁ……ああぁぁぁっ」  ズブズブとまた挿ってくる熱くて硬い枝島のに、また奥を抉じ開けられて、その快感に甘イキしてしまう。 「っ」 「気持ちいいっすか?」 「ぅ、んんんっ」  身体は戸惑うことなく、枝島に絡みついてく。 「中がぎゅってしてくる」 「っ、あぁっ」  数日前はもう落ちてしまいたいなんて思ってたのに。 「あ、そこっ」 「?」  今はもう。 「っ、焦らすなっ、て……あぁ」  奥まで来て欲しくて、腰が勝手にくねって、迎え入れようと孔がヒクつく。 「あぁ……ん」 「言って。治史さんが今、欲しいもの」 「っ」  カリ、で、そこのもっと奥を、されたい。 「そこ……」 「……」 「そこじゃなくて、もっと」 「……」  抱えた俺の脚、膝のところに寡黙な唇がキスをする。ただそれだけでも、腹の奥がぎゅっと切なくなるんだ。  そのくらい、欲しがってるのに。  枝島の鋭い眼差しがねだってる。  言って、って。 「あ……」  何が欲しいか、言ってって。 「あ、奥」  何をされたいのか、言ってって。  だから、おずおずと大胆に足を拡げた。  枝島のがずっぷりと突き刺さっている自分の孔の、目一杯広がっていることを指でなぞって確かめてから。 「ン」  その突き刺さっている枝島の根本をキュッと、指で作った輪っかで包んだ。  まだ、これだけ、俺の中に入ってない。この輪っかの分だけ。 「ここ、まで全部、入れ、て」  根元まで、全部、挿れて。そしたら、ここまで。 「ここ、まで来て」  もう片方の手で撫でたのは自分の腹。薄っぺらくて、女性のような柔らかさもない硬い腹を撫でた。 「っ、う……あ」  腹を撫でたのは自分の手なのにそれだけで、欲しがって疼く奥のところがぎゅっとした。 「もっと、言って、治史さん」 「っ」  欲望で頭の中がショートしそう。  理性とか焼き切れそう。 「治史さん」 「あぁ」  ずちゅりって甘い音がした。中を中途半端に擦られて、おかしくなりそうなくらいに欲しくて欲しくて、たまらないから。 「奥まで」  だから、大胆に拡げた足を自分から抱えた。 「もっと……突いて、欲し、あ、全部、挿れて、それ、から、ぁっ、カリで、中、を……引っ掻い、あぁぁぁっ」  ずぷりと奥まで刺さった圧迫感で達した。 「あっ」  そのままキスをされるとたまらなかった。膝を枝島の手が鷲掴みにして、もっと開かせる。開いて、奥まで来て、それから望んでいたとおりにカリで中を擦られて。 「あぁっ、それ、イク」  カリ、気持ち、ぃ。 「イク」 「っ、中、絡みついて、すげぇ」 「あぁぁ、枝、島……乳首も、噛んで、欲し、い、あっ、ひゃ、ぅっ」  激しく吸われて、奥がキュンキュンした。 「あ、そんな、吸ったら、伸び、ちゃ、あ」  コリコリになった粒を唇で喰まれて、そのまま歯を立てられて、また甘イキしてる。 「あ、あ、あっ、イクっ、イクっ」  ずっと、イッてる。 「あ、あ、あっ」 「治史さん」 「あぁぁ、イク、イクッ」  根元まで全部咥えながら、奥の指じゃ届かないところをごちゅごちゅと責められながら、達した。 「あ、あぁぁぁぁぁぁっ」 「っ」  その瞬間、奥でゴム越しでもわかるくらいに枝島も達して。 「あぁっ」  その熱にまた余韻で達しながら。 「枝島……」  溢れそうになる言葉を口の中に留めようと、手を伸ばして。 「……ん」  キスをした。  舌先まで絡めて、唾液を混ぜ合う、セックスのように濃厚で熱に溶けてぐちゃぐちゃになるような、そんな、キスをして、達した身体がまた火照る。  火照って、求めて、また……。 「ん、もっと」  また抱いてもらう、それをずっとしたくてたまらなかった。

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