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第73話 三週間後

「これ、すげぇ、興奮する……っ」 「?」  息を乱してぼつりと呟いた元彰の低音に首を傾げながら、咥えていく快感に震えた。  俺のどこに興奮してくれたのかよりも今はこれを挿れてもらいたくて、咥えた切っ先を奥まで埋め込むことしか考えられない。 「あっ、はっ、おっき……ぃ」  抉じ開けられるだけで、イキそう。 「っ、いっつもスラスラ話す治史さんの声って、澄んでて綺麗、けどっ、こういう時、めちゃくちゃ甘い声になんの」 「あ、待っ、きもち、い」 「あと、今日、その片言になるのも、やばいっす」  そう言って元彰のが中でもっと暴れたいって、ビクビクした。 「治史、さ、んっ」 「あ、はぁっ」  この声?  甘い?  興奮する?  こうして。 「っ」 「あぁっい、いっ、あつ」  首にしがみつきながら腰をくねらせて、好きな男のに夢中になってるのは? 「治史、さっ」  いい?  興奮、する? 「あっ、あっ」 「や、ばっ」 「あぁぁ……ん」  夢中で腰振りされたりする、のは? 「あ、元彰っ、ん」  キスしながら、奥まで挿れたがる、ようなのは? 「あ、もっと」  元彰のカリで、擦られると頭の芯が痺れるくらいいいところがある。そこを小刻みに撫でながら、乳首を。 「もっと? なんすか?」 「っ、ン」 「治史さん……」  年下の部下に言葉で責められて奥がきゅんきゅん感じるのは?  いい? 「は、ぁっ」  可愛がられたい。  太いので奥までいっぱいに広げられながら、されたい。 「ここ、布越しだけでいいっすか」 「あっ、や」  元彰の大きな手が尻を鷲掴みにして、今、とろけるほど気持ち良くなってる孔を拡げる。根元まで全部咥えてきゅんきゅん悦んでる孔が尻に食い込む指の強さにさえ興奮してヒクついてる。 「ここ、して」 「どこ、すか」 「ここ」  腰振りたいから、手は元彰の首に回したまま、Tシャツの端を口に咥えた。 「ここ、ひて……ん、んんんっ」  咥えたまま、して欲しいことをねだると中で元彰のがまた一段と硬くなった。 「エロすぎっすよ」 「っん、ンンっ、あっ、ン、やぁっ……あ、あ、あっ」  怒ったみたいに低い声で呟いて、その唇に、直に乳首を甘噛みされるとたまらなくて、勝手に腰が揺れてくる。  敏感になってる乳首には、直に触れる、元彰の唇の熱さも舌の濡れた感触もとろけるほど気持ち良くて。布越しで可愛がられた乳首にキスされただけで、また、中が甘イキしてる。 「今日の、治史さん、やば、い」 「ん、らって」 「すげ、中」  元彰のにしゃぶりついてく。 「も、あ、あ、らめ、これっ、イク、んんんっ、あ、っ」 「っ」  元彰のも、もう、硬くて、今にも。  ガチガチなそれで奥まで全部抉じ開けると視界で小さな星が点滅するくらい気持ちいい。 「あ、あ、あ、あ、この、ままっ」 「っ」  手でもっと広げていて欲しくて、この熱くてたまらないのをもっと奥まで突き立てられたくて、尻を鷲掴みにしている大きな手に手を重ねて押し付ける。 「キス、欲し、元彰っ」  もう、イク。 「ん、ンンっ、ん」  首にしがみついたまま夢中になって腰を振った。中でしゃぶりついて、キスで絡まり合いながら。 「ん、イクっ、イク、イク、あっ」  元彰が触れるところ全部が気持ちいいから、絡まり合うように全部でしがみついて、イった。 「あっ……ぁ……すご、ぃ」 「っ」 「あっ……ン」  元彰のが気持ち良さそうに俺の中の余韻を味わってる。 「ンンっ」 「っ、今、動くの、反則っす」 「……ぁ、ン」  だって、中でビクビクしてて、すごい。 「好き」 「っ」 「あ、ンっ」 「あの、だからっ」 「な」  三週間で本当に恋、した。  こんなのないと思ってたのに。つまらなくて、退屈だろ? って、思ったんだ。あの時、俺とデートなんかしてもきっと面白くないぞって、心の中で思ってた。  そっと、そっと、遠慮がちに手を伸ばした。思い切り、俺の目の前に、もう取るしかないくらいに目の前に突き出されて、きっと、絶対にそっちから離したくなるって思いながら、やっぱ微妙だったって思われるだろうって、先回りで予想して、予防線を張りながら、その手を取ったんだ。  怖気付きながら。 「明日、デート、したい」 「……」  三週間で恋をしたいって思ったよ。 「まだどっこ行くか決めてないけど、どっか、って、鼻! 血! ちょ、おい! おま、おいっ、待っ、ちょ、上向け、あと、ちょ、まだ入ったまま、だから、抜、わっ、うわっ手」  大混乱だ。 「鼻血くらい出ますよ」 「……」 「貴方からデート、誘ってもらえるなんて、夢みてぇ」 「……」  そんな嬉しい?  こんな三十路上司とデートなんてできるのが嬉しい? 「夢じゃない」 「……」 「鼻血マン」 「っす」 「ほら、ティッシュ、そんで、このまま抜かないで」 「っす」 「元彰って、案外器用だな」 「っす」 「鼻血出しながら、ガチガチにしたままキープとか」 「すげぇ嬉しかったんで」 「そ?」 「っす」 「俺も」  ひねくれも、卑下するのも、もうしない。 「嬉しいよ」  三週間で。 「だから、もう一回」 「っす」 「明日、たくさん動ける程度に、はっ」 「……」 「あ、そこ、なんで、返事、しなっ、あぁっ……ンンっ」  恋をしたいって思わせてくれたから。

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