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社員旅行編 1 可愛い部下
「あつ……」
そう思わず声が溢れた。
空調の整った廊下を歩きながら、窓の外を見下ろして、ハイライトでも照射するように木々を照らす日差しを見ながら。
今日の午後から明日の朝にかけて雨だっけって思って。
本当か?
できたらこのまま晴れていてくれると、いいんだけど。
明日は元彰と――。
「あ、久喜課長、すいませーん。あの、これ派遣の人にデータ入力してもらったんすけど、なんか、間違えてて」
まだ就業中、にも関わらず、今日、仕事を終えて、明日の休みの予定のことを考えてしまった。
まだ午後の休憩後に生産部長とミーティングがあるのに。
廊下で、呼び止められ振り返ると、うち、本社の品質保証部の若手、村木が少し不服そうな顔をして、プリントアウトしたものを差し出した。
それはすでに出荷するため、出荷部が梱包済みで倉庫へ発送待ちとして移動させたばかりの品の品質保証書だった。
「もう倉庫にあるらしくてぇ……」
あぁ、そうだな。知ってる、と答えたら、やってしまったと表情を曇らせた。もちろん課長である俺は大体の、今、製作中、及び、製作済みのものを把握しているから、その製品が出荷直前で、傷ひとつ付けられないほど頑丈に梱包されていることはわかってる。
「まず……」
「はっ、はいっ」
「入力を派遣の大田さんにお願いしても構わないが、入力を頼んだなら、その入力済みのデータの確認をしないとだろう?」
「は、はいっ」
入力を頼まれた大田さん、派遣の彼に全て任せるのではなく、確認はしなければならないし、ダブルチェックは品質保証部として働く時、物事の基本だ。
生産部が作り、次工程へと送る前に自主チェックをする。俺たち品質保証はその後のダブルチェックと、正しく品質水準以上にできていることを「保証」するという、会社の重要な「信用」部分を担ってる。気をつけるように。そう、よく口を酸っぱくして繰り返し言っていることを注意をすると、はいっ! と背筋を伸ばした。
「出荷部に行って頼んで開けてもらうように」
「は、はいっ」
「もちろんちゃんと謝るんだぞ。向こうにしてみたら余計な手間なんだから」
「はいっ!」
「その時は……あっ、枝島!」
見つけたのは一瞬で誰だかわかるくらいによく知っている背中。もしかしたら百人くらいが同時に、同じ服装でこちらへ背中を向けていても、瞬時に見つけられるくらいによく知ってる背中だ。
「……っす」
「悪い。今から検査だろう?」
「っす」
「俺が先行で入るから、代わりに、一緒に倉庫に行ってきてもらえるか?」
「……」
思わず笑いそうになっただろ。
「すまない。出荷待ちの製品の保証書、データに不備があったから差し替え、二人でしてきてくれ」
は? なんで俺が? そんな顔してる。あまりにわかりやすいから。
「すまないな」
「……っす」
笑い出しそうになったじゃないか。
「……優しくないっすか?」
「っん、あっ、なに?」
「あいつに」
「? あぁっ」
誰に、誰が、優しいって?
と、首を傾げたら、奥をぐりっと抉られた。
そこは苦手なんだ。すぐに頭が真っ白になって、何もわからなくなる。
欲しがりがすぎて、そのまま、明日のこともかまわずねだりたくなる。
「あいつにっすよ」
「あっ、待っ、そこっ」
「治史さん」
トントンってされて、腰が勝手に浮き上がる。背後で小刻みに俺のいいところを何度も突いて悦がらせて、俺の頭の中を自分のことだけでいっぱいにさせようとする。
「あいつに優しい」
「あ、あぁぁぁっ」
背後から羽交い締めにされて、深く射抜かれ、視界で星が瞬いた俺の更に奥を二回。
「あっ、あぁっ」
三回、抉じ開けられて、内側がぎゅっとその存在感に絡みつくように締め付けた。
「あっ……はぁ」
中で、ゴム越しなのに、射精してるのを感じる。一回で奥が溢れるくらいに濡れる量の熱が、今。
「あぁっ……ン」
引き抜かれる瞬間、媚びて鼻にかかった甘い声が勝手に口から溢れた。
「あっ」
満足したって身体の内側が悦んでる。でも、もっと欲しいってヒクついてもいる。
「治史さん」
「あっ」
肩に齧り付くようにキスをされただけでも、軽く、前から滴るのを感じた。セックスの熱に浸りきってる身体はひどく敏感で、ひどく貪欲で。
卑猥だ。
ほら、新しくゴムをつけてるところを見て、奥が今、物欲しそうにした。
「あっ……も、おま、ペースっ」
「やだ」
ほら、子どもみたいに欲しがられて、内心、とろけてく。
「あぁ、待っ、今、イッて、るっ」
「無理」
達したばかりで余韻をまだ味わってる内側を抉じ開けられるだけで、また。
「あ、あぁぁぁっ」
イク。
「治史さん」
「あ、あ、あ、待っ」
突かれる度に濡れた音が部屋に響く。
「あぁっ、あ、あ」
「治史さんっ」
「あ、そこっ、イクっ」
弱いところを擦られたくて、撫で回されたくて、腰を振って。
「あ、あ、あ、あぁっ」
突かれながら乳首をキュッと摘まれると、たまらなく気持ち良くて。
「すげ、締め付け」
「あ、あ、ンっ」
あられもない声。物欲しそうに媚びていて、甘ったるい声。
「治史さん」
「あ、あぁっ、ン、そこ」
はしたない格好。足を大胆に広げながら、腰を自分から振って、もっととねだるように射抜いてくれる熱の塊にしゃぶりついてる。
「もっと」
「治史さんっ」
振り返ると、俺のものって主張するように、何度も突き上げながら、射抜くような瞳に胸が高なった。
そんな顔しなくたっていいのに。
「元彰」
「っ」
「奥、入って」
そんな顔しなくたって、仕事中に今日の夜泊まりで、明日はデートで、と自分の部下と過ごす週末に胸を踊らせてるくらい、俺はもうお前のものなのに。
「元彰」
ほら、こんなに甘ったるい声で可愛い部下の名前、呼んでるだろって、振り返って無口な唇に舌を入れて、絡ませた。
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