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2話 家族の話や推しの話です!
2話 家族の話や推しの話です!
あらめましてこんにちは、光屋光子44歳。苗字と名前に”光“がつく、キラキラ“腐”女子でございます。
今回はワタクシ達の息子についてお話しさせてください!
光屋智晴(みつや ともはる)23歳、職業は声優です。
今でこそ、ただでさえ可愛い息子が推せる仕事をしているということで
「なにそれ、もう息子最推しかよ!!」
と全力で応援して推しておりますが……
数年前、息子が声優になりたいと言い出した時はワタクシ、とてもビックリしました。
なにせ、今まで声優やアニメに興味がある素振りなんて、まったくありませんでしたから!
もちろんワタクシと夫くんは、お互いに引けも取らないアニメオタクです。
(ワタクシにはBL趣味もございます)
そんなオタク夫婦のワタクシ達と違い、息子はアニメにはそれほど興味を持たず、どちらかというとスポーツや音楽が好きで、好きなロックバンドに影響されて高校の頃から毎日10キロランニングをし、音楽フェスやスポーツ観戦に熱中する。
そんな、トンビがタカならぬ、オタクが陽キャを産んだのか? と思う息子でした。
いや、もしかしたら夫くんの方に似たのかもしれません。
夫くんは生粋のコスプレイヤーで、イベント参加や交流に積極的な、オタクの中でもいわば陽のオタク。
「50歳になったらレイヤーも引退かな?」
などと言っていたくせに
「まだイケる。最近の加工技術すげぇ」
「50歳のおじさんが家で女装コスしてみた動画とかあげようかな?」
など、未だに自己啓発に余念がない。
(息子と2人、筋トレの話などでよく盛り上がっていますが、引きこもりの完全なる陰のオタクであるワタクシにはストイックすぎて理解できません)
すみません、少し話がそれましたね。
そんな陽キャな息子は、格闘技やスポーツ中継に熱中し(アニメオタクの両親とはそれはもう壮絶なチャンネル権争いをしましたとも)、やがて好きが高じて、実況アナウンサーになる夢を追い始めました。
放送アナウンサーを目指して大学に進学したものの、やがて“学力的に挫折した”そうです。
本人曰く
「ライバルとの学力やキャリアの差に悩んでいたところ、友人に誘われた演劇サークルに没頭してしまい、より学力が落ちてしまった」
との事である。
元々、声の仕事がしたくて、その後演劇に傾倒したらしい息子はある日ワタクシに
「声優を目指すとしたらどうすればいいの?」
と聞いてきました。
(大きくなっても親に進路相談してくれるとか、なんて良い子なのかしら!)
そこで思い出したのがワタクシの推し
『新見駿(にいみ しゅん)』
舞台俳優出身で、今も声のお仕事だけでなく舞台やミュージカル、2次元アイドルの音楽ライブなどなど、幅広く活躍しているワタクシの推し。
(なんと現在40歳! とてもそうは思えないほど若々しくて、活動的で、恰好いいくせに可愛いところも推しポイントです)
ワタクシが彼を認識したのは10年前、
「可愛い声! 新人? えっワタクシと同世代なの?」
……からの
「舞台俳優だったのが、幅広く活躍して声優の仕事もするようになったのね。」
「ってかイケメンだな!」
……という流れで、それ以来ずっと推しである。
最近では声優といってもアニメ以外にも幅広い活躍の場がある。
アナウンサーを目指していて舞台演劇に傾倒した息子には、そんな幅広い仕事ができる環境の方がよいだろうと思ったのだ。
加えてすでに大学卒業間近である。
独自の教育カリキュラムを持っている大型事務所では、声優に特化した教育を受けた同期と競わなくてはいけない。
そういう“大箱”よりも小規模で自社で劇団を持っていて舞台演劇もやっている会社、いわゆる“小箱”の事務所の方が息子にはあっているのではないか。
「アニメだけじゃなく他の仕事もしたいのなら……」
と、幾つかおすすめの事務所を教え、オーディションを受けさせた結果。
見事、駿くんの所属する事務所に合格したのだ。
(ワタクシ、当の息子よりも大喜びしました)
「声優事務所というより、劇団みたい! 定期的に自分たちだけで舞台公演がやれるから、演劇も続けられて嬉しい」
と息子も喜んでいました。
(すいません、すいません。推しの事務所に息子が入所したら、その恩恵で関係者席〜とか、ポスター譲って欲しい〜とか、あわよくばサイン〜とか、そんな邪な打算があった母を許してください!!)
それから数年。最初のうちはギャラも少なく、実家から通いで(親の脛をかじりつつ)なんとかしていた息子ですが、やっと1人で生活できるようになり。
今は事務所やスタジオに近い都心で、一人暮らしをしています。
と言っても、ちょくちょく帰ってきてくれる相変わらず可愛い息子なのです。
先日も
「母のおかげでBLデビューしました!」
と例のBLCDを届けに帰ってきてくれまして。
CDジャケットに小さく書かれた駿くんのサインに、ワタクシが狂喜乱舞した事は言うまでもありません。
(息子は「俺のサインもあるんだけどー」と口を尖らせていました。可愛いかよ!)
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