4 / 7

4話 妄想の素もとい息子が帰ってきています!

4話 妄想の素もとい息子が帰ってきています!  こんにちは! 毎度お馴染み(え? お馴染んでいない?)光屋光子、キラキラ“腐”女子44歳です!  最近は、推し声優×最推し息子(新人声優)の妄想が激って滾ってどうしようもありません!!  それもこれも、先日の同人即売会にてワタクシの長年の推し声優である新見駿くんと、ワタクシの息子で新人声優の光屋智晴の二次創作作品に出会ってしまったからです!  自宅に帰ってゆっくり鑑賞させていただき、神作者様のSNSもしっかりとチェックさせていただきました。はい、とっても素敵でした。  日頃ワタクシが2人の出演する配信番組を観て 「何この仲の良さ? 可愛いかよ」  とか 「まってまって息子、駿くんに懐きすぎじゃない?」  とか 「まじ尊い」  とか思っていたことが、可愛いイラストで紙面化されている喜び! そしてSNSに集う同志たち!!  ワタクシ、すっかり『新見駿×光屋智晴』の沼にハマり込んでしまいました。  おっとおっと、いけないいけない。こういうものは伏せ字にしないとですね 『Nさん×M君』  がこの界隈での隠語になっているようです。 (それってもしかしなくても、お互いに「兄さん」「みつ君」と呼び合っていることと名前の頭文字とが掛かっていますね。うふふふ)  ネタにされている本人はおろか、夫くんにも隠し通さねばならない趣味ではございますが、正直に言います。  腐女子にとって最高では?!  だってだって! 息子よ!  実の息子でそんな妄想しているなんて?!  って非難されそうだけれど、  だってだって可愛いんだもの!  そして駿くんがカッコ良いのだもの!  駿くんになら息子を預けてもいい!  いや、もう事務所の先輩としてお世話になっているのだから、預けていると言っても過言ではない!!  そして可愛い息子から直に聞き出せる推しカプの話!!! (これが妄想滾らずにいられるか!!)  うぉりゃぁぁぁ! と猛る気持ちをぶつけんばかりに手を動かす。  何をしているっかって?  帰ってきた可愛い息子のために夕飯を作っているのです。  息子の好物をたくさん準備していましたが、そんな甘い母親の顔ばかり見せてはいられません。  帰ってきて早々にとっちめましたとも!!  なぜ駿くんとのトークイベントの事を教えてくれなかったのか!!!!  息子とて、ワタクシが駿くんの長年のファンである事は熟知しているはずだ。  それを!! それを!!!  生で駿くんが観られる機会を教えてくれなかっただとぉぉ?!?!!  許すまじ!!!!!!!  今までは、共演する舞台は必ず関係者席を取ってくれたり、駿くんのサインをもらってきてくれたりと、職権らんよ(ぅ、あっいいえっ)ごふんごふん(咳込み)。  そうでなくとも、駿くんと仕事する時は必ず教えてくれていたのに……  いくらワタクシがゲームに興味がないからって酷すぎる。  夫くんの方はゲームも嗜むからか、ゲームショウの配信のことはすでに伝わっていた。  トークイベントの配信を予約してもらおうとしたところ  「もう視聴予約してあるよ」との事だった。  なぜワタクシには教えないのか?!  事前に教えてくれれば、観覧席の抽選にも応募したのにぃぃぃ!!  ふんぬーー! ムキキー!!  むぎゅー! ジュージュー! (チキンステーキをフライ返しで思いっきり押し付けてパリパリに焼いています) 「わー、すっげぇ美味そうな匂いー!」 「何か手伝うことあるー?」  タイミングよく2人がキッチンに入ってきて、久しぶりに親子3人そろっての食事です。   「ごめんねー。車の中、先週の荷物の片付け手伝ってもらっちゃって」 「いいよ。急に車貸してっつったの俺だし」  そうそう、我が家は車を所有していまして、先週のイベント参加時にも使用しました。何せ行きも帰りも荷物が多いもので、アクセスの良い駅まで車で移動し、そこから電車移動はなるべく短距離で……というのがここ数年の我々のイベント通いスタイルです。  息子も何かと野外フェスだの、友人と旅行だのと、我が家の車を借りることも多いのですが……はて? 「明日? 車使うの? トークイベントなんでしょ?」 「うん。郊外の会場だし関係者駐車場使えるらしいからさ……」 「うんうんそうなんだー」 「朝イチで兄さん迎えに行って、そのまま2人で会場まで行くことになったんだ」 (ふぁああああぁーーーー?!?!?!) 「ぅひゃあい? ちょ、どど、ど! ど!  どうひぃうことぉお?!」 「だから、車借りて兄さん……あぁ、新見先輩を乗せて行くことになったって……」 (そこは言い直さなくても、わかるっ!) 「じゃなくって! なに?! なんっで?!」 「父さん、もしかして母さんに言ってなかったの?」 「うん。言ったらパニックになると思って」 「あ、あっ、当たり前でしょぉ!!  うちのっ! うちの車に、推しが乗る?!?!」 (うわぁぁぁっぁああああああああああ!!)  夫くんの予想通りパニックになったワタクシは、大慌てで車内の大掃除をすることになったのであります。 (だってだって! 推しが乗るなんてわかったら最大限綺麗にしないと! ただでさえ先週のイベント帰りに家まで待ちきれず開封したあれやそれや、そのゴミや差し入れにもらったお菓子の食べカスなんかがぁぁっぁあ!) 「いやぁぁ! なんでもっと早く教えてくれなかったのよぉぉぉ!! ばかぁぁああ!」

ともだちにシェアしよう!