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家族になる日 編 3 やらしくて可愛い年上の人
こんな些細なことだけれど。
たかがケチャップ、なんだけれど。
でも、それをさりげなくしてくれる人なんてそういないと思う。もったいないなって、思う。
自分には、とてももったいない人だなって。
でも、誰にも譲りたくないんだ。もったいないと誰かに言われたって、誰にも上げたくない。彼が――。
「睦月ってさ……」
彼が、好きでたまらない。
「千佳志さん?」
名前を呼ばれて、君が肌へのキスを中断してこっちを覗き込んだ。
「睦月って、モテるでしょう?」
「?」
ああいうのをさ、さらっとやってくれる。困っているところを何気ない顔で助けてくれる。そんなのされたらさ、メロメロになってしまう。
「さぁ、どうだろ。わからないけど、でも」
すごくすごく好きになってしまう。どんな女の子っだって君のことを好きになっちゃうよ。
「でも、貴方にはモテたいって思ってます」
「……」
「千佳志には好かれたい」
そういうところもズルいんだ。普段は俺のことをほとんどの時で「さん」って、千佳志さんって呼ぶ。セックス の時だってそう。なのに、今夜は呼んでくれる。
千佳志、って。
名前だけで呼ばれるとドキドキするのに。すごくすごく胸がくすぐったくなるのに。年下の君に、年上の自分、そういうのが消えちゃうのに。
ねぇ、とても嬉しかったんだ。
ケチャップを買ってきてくれたこと。一人でやり切らなくていいんだって、思ったこと。すごく、嬉しかったんだ。
そう伝えるように、首に手を回してそっとキスをした。君は素直に引き寄せられてくれて、そのまま俺に唇を重ねて、ここを開けてと舌を入れてくれる。
「ん、っ」
こっちも開けてって、指を、挿れてくれる。
「ンンっ」
声が出ないように睦月にしがみ付きながら、リビングでそっと脚を開いた。
「んっ」
すごく、欲しい。
「ンんんんっ」
睦月のことがとても欲しい。
「指二本にした途端にそんな顔しないで、千佳志」
「あ、だって……」
早く欲しくて仕方がないんだ。君のことが早く欲しい。
「まだ、狭いのに、したくてたまらなくなる」
少ししかめっ面になった睦月の唇にキスをして、首にしがみついていた手で逞しい肩に触れて、胸を撫でて、お腹をくすぐるように触って――。
「っ、千佳志、っ」
「……睦月の、硬い」
密着した状態だから、睦月の耳がすぐそこにあった。キスするようにそこに唇で触れながら、囁いて、片方の掌じゃ、男の手の大きさでも少し足りないほど太くて大きいそれをキュッと握った。そして、片手で扱きながら、きゅぅんって、君の指を締め付ける。
「舐めても、いい?」
そう、耳元で囁きながら。
笑わないでね。
「ん」
こんな格好ではしたないって、呆れないでね。
「んんっ」
睦月のペニスにキスをしながら、早くこの舌先で触れるとたまらなく熱いこれを中に挿れて欲しくて、指で自分のそこを慣らしてる。恥ずかしい格好。でも――。
「千佳志、やらしくて可愛い」
「ん」
年上の男なんかにそう言ってくれて、君が嬉しそうに口元を綻ばせ、髪を撫でてくれたから、もっと大胆にペニスにキスをしながら、指で中をほぐした。
これが欲しいから、丁寧に、君が中で気持ちよくなれるように柔らかくほぐしてく。
「ん」
太くて、すごく熱い。くびれのところに吸い付くようにキスをして、先端は舌で撫でてあげた。その舌先に君の味がした。透明なそれを丁寧に舐めとって、そのまま竿も舐めて、根本にキスをする。ずっと指は自分の中を弄りながら。
その全てを君が見つめてる。
「んん、ン、んっ」
一生懸命にペニスにキスをしながら、夢中になって指を動かす、なんてすごく恥ずかしいのに、睦月が息を乱してくれるから。もっと大胆に舌を絡めたら、どうかな、なんて思っちゃうんだ。
「千佳志、すごく気持ちいい……もう、いいですか? 中」
「んっ」
くれる、の?
「こっち来て、千佳志」
君の、くれる?
「おいで、千佳志」
「あっ」
腰を引き寄せられて、あぐらをかいてる君の上に跨る格好になった。もちろん恥ずかしくてたまらない。大きく脚を開いて、君のペニスが入るところが丸見えになってしまうんだから。
「あぁっ」
でも大好きな君に早く抱いて欲しかったんだ。
「あっ……ん」
ズブズブと飲み込んで、息が苦しいくらいに中を君でいっぱいに、して欲しかったから。
「すごいっ、千佳志の中」
「あ、あ、あ、あ」
「きゅうきゅうしてる」
「ん、だって」
こんな格好して、君に笑われてしまわないといいのだけれど、と思いながら、とても大胆に足を広げた。早く欲しくてたまらなったんだよって伝えるように、中をもっと締め付けて。
「掴まってて、千佳志」
「あっ」
表情が変わる。俺の腰を抱き寄せる手、指先に力が籠るのが肌越しに伝わる。
「んんっ、ん、んっ」
そして、年上なのに君にしがみ付いた。ギュって腕を首に絡ませて。
「ん、ん、ん、ん」
激しくて、すごく力強く貫いてくれる。突き上げられて、蕩けてしまいそうで。
「んんんん」
とっても気持ちいいから声が我慢できそうにないと手の甲でぐっと口元を押さえ付けた。寝室では伊都が眠ってるから。
「ダメ、でしょ。噛み跡残る」
「噛むならこっち」
「あっ……む」
睦月の指。
「っ、千佳志」
「ん、んむ……ん」
やらしい? はしたない、かな。でも、その指にしゃぶりついた。丁寧にさっきペニスにしたみたいにキスをして舌を這わせて、口を窄めて吸い付いた。
「ん、むつ……き」
だって、君のことが好きで好きで、たまらないから。
「もっと、して」
そう言って、やらしくて可愛くなれないかなと、また年甲斐もなく願って俺は自分からも腰をくねらせた。
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