口の中で君の形をたしかめるだけで、内側が疼くんだ。その形をここに捻じ込んで欲しいのにって、身体の中が駄々を捏ねて、もっと熱くなる。ここにそれをちょうだいって、疼いて仕方ない。 「ン、んんっ」 　チラッと見た睦月の表情に、今、触れてないはずの先端から、とろりと蜜が溢れて体を濡らす。ゾクゾクしてしまう。睦月の男の顔に、そして、熱の篭った瞳に。 「千佳志さん」 　蕩けて、身体から滴り落ちてしまう。男同士なのに、とか、年上なのに、とか、そういうものが熱に溶けて、蜂蜜みたいにゆっくり身体から垂れ落ちていく。 「ん、ンっ……んん、ン」 「っ」 　そして残ったのは、素の自分だけ。 「顔、見せて、千佳志さん」 「っン」 　視線を睦月に向けると、ペニスを咥えているところを見たいって、前髪を掻き上げられた。大きな掌で額から頬を撫でられてゾクゾクしながら、咥えてしゃぶっている様子をじっと見つめられてる。 男なのにね。君の大きな掌に包まれたり、触れられるととすごく安心して、そしてドキドキする。 　こういうのって、性別関係ないんだって、君に教わった。 　好きな人に触れられたら、癒されて、欲情して、恋しくなるのは普通のこと。もっと触れて欲しいと思うのは、当たり前なこと。 「ン、ん……んふっ……んんん」 　その当たり前のことは、睦月にとっても同じだと思うから、丁寧にくびれのところを刺激した。舌を使って唾液が溢れるくらい、大胆に愛撫する。 「っ、千佳志っ、さん、も、口、離して」 　いやだって拒否するために、喉奥にできるだけ招いて、口の中いっぱいに睦月を頬張った。 「千佳志っ、さんっ」 「ン、んんんっ、ン」 　だって、いやだ。 　こんな拙い愛撫でも気持ち良さそうに呼吸を乱す君のことが愛しくてたまらない。もっと喉奥まで犯されたくて、できる限り咥えて、しゃぶって、睦月のこと飲ませて。睦月の全部が欲しいよ。だから――。 「口、して？」 「っ」 　太くて大きいから咥えたままじゃ言い難いけれど、おねだりをした。 「っ！」 　その直後、口元で睦月のペニスが熱を弾かせた。びゅくりと飛び散って。 「ンんっ！」 　そして、舌にかかった白に、触れてもいないのに自分もイってしまう。 「あっ……ぁ、睦月っ」 「千佳志、さん？」 　苦いのに、こんなに苦いのに、どうして、舌が悦んでる。身体が嬉しそうに、射精の余韻に小さく揺れている。 「イったの？　千佳志さん」 「ぁ……」 「……俺のを、口でしながらイったとこ、見せて」 「やぁ……っ」 　指で髪を撫でられただけで、また蜜が溢れそう。君に触れられるとどこもかしこも気持ち良くてたまらなお。 　君とだったら、恋も、男なのに抱かれることも、全部怖くない。 「ンンン」 「千佳志、さん」 　君の掌が俺に触れてくれるのなら、何もかも怖くなくなる。君の指が掬い取って、唇に塗りつけるのなら、苦いのも甘くなる。 「ン、んんんっン」 　君がくれるもの全部美味しくて、気持ちイイから。 　だから大きく足を開いて、今、イったばかりなのに、まだ何か欲しそうにしているペニスよりももっと奥、そこでヒクついている孔。 「睦月、今度は、こっちに欲し……ィ」 　ここにもって、指でそこを撫でて、ねだった。吐き出したばかりの熱を自分の指にまとわりつかせて、孔を撫でて、はしたなく誘う。そのくらい睦月のことが欲しいから。 「千佳志さん」 「あっ……」 「しゃぶって？」 　差し出された手。舌で爪先を舐めて、唇で指を咥えて扱きながら、頬の内側をすぼめて吸いついた。今さっき君のペニスにした愛撫を今度は指にも同じようにして、濡らして、愛しい名前を呼ぶ。 「ぁっ、んんんんっ」 　ずぶりと突き立てられる熱の塊は愛撫の唾液にで濡れて、孔の口を押し広げ、中を一気に抉じ開ける。 「んんんんっ」 「っ、はぁっ……千佳志さんの、中、すごい」 　熱い？　きっと、熱いのは君のだよ。熱くて、硬くて太くて、すごく気持ちイイ。 「睦月、ぁ、動っ……ン、ぁ、そんな、奥」 「掴まってて」 　ずちゅ、ぐちゅって、やらしい音。睦月のペニスが中を掻き乱して、奥をついて、孔の口を広げて、もっと深いところまで貫く音。 「ぁ、睦月の太いのが、奥、来てる」 「気持ちイイ？　千佳志さん」 「ン、んっ、おかしくなっちゃいそう」 　目の前で色っぽく笑う口元がたまらなく美味しそうでむしゃぶりついた。飴をしゃぶるみたいに、唇をはしたなく唾液で濡らしながら、睦月のキスを欲しさに、舌に絡み付いて。キスしてる間も、ずっと打ち付けられ、深いところを突かれる快感に声を出せないから、気持ちイイって、身体でもしゃぶりついて睦月に伝える。 　抱きついて、しがみついて、こんなに大きく脚を開いて。 「ぁンっ……あっ、睦月」 　もっとずぶずぶに俺のこと突いて欲しい。 「はぁっン……ン、声、出ちゃうっ」 　もっと、ぐちゃぐちゃにして、俺のこと。 「ン、奥、気持ち、イっ……ぁっ」 　君の形に変えてよ。 「はっ……んんんっ、ン、んっ」 「好きです。貴方が」 　伊都が起きちゃうから、激しく突かれる度に零れる嬌声を君のくれるキスで塞がないといけなくて、だから、おねだりの言葉を言う暇がない。 「あぁぁっン、イくっ」 「っ」 　でも、君は全部くれるんだ。激しく奥を貫いて、苦しいくらいに根元まで俺の中に突きたてて、腰を打ち付けて、壊れるくらいに深いところまで来てくれる。逃がさないって、大きな掌で身体を捕まえて、その太くて熱いペニスを全部俺の中に埋め込んでくれるんだ。欲しいこと全部してくれる。 「あ、睦月っ」 「っ、千佳志っ」 　ねぇ、そしたら、くれる？ 「あ、して、キス、声っ」 　君の全部、俺にくれる？　飲ませてくれる？ 「んんんんんっ！」 　君の欠片一滴だって、全部、俺の中に注いで。愛しい人の全部が欲しいんだ。 「あ、はぁっ……ン、あっ」 「っ」 　ドクドクと吐き出される熱。さっき、口で浴びたはずなのに、それ以上に熱い白が内側に注がれて、染み込んでいく快感に感極まっていた。 「あ、すごい、いっぱい」 「それは、貴方もでしょ？」 「あっン」 　自分のお腹の上に散らばる白を大きな手が肌に塗りつけるだけじゃなく、吐き出したばかりでピクピク跳ねるペニスにも、敏感に尖った乳首にも、塗っていく。 「も、ダメ、睦月、意地悪、しないで」 「無理」 　意地悪される時の貴方の顔、たまらなく好きなんです、なんて、キスしながら言わないで。 「ン」 　ほら、まだ中にいる君のことをキュンと締め付けてしまうから。 「千佳志……」 「ぁっ……ぁ」 　世界で一番近い場所に彼がいるって感じた。繋がっているからだけじゃなくて、こうしてドロドロに抱き合っているからだけじゃなくて。あのね、思うんだ。 「貴方のことが好きです」 　こんなふうに額をこつんって合わせてるだけでも、一番近くに君を感じられるって。 「俺も、睦月のこと、好き」 　そう、思うんだ。