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うさ耳クリスマス篇 5 貴方は可愛いうさぎさん

 セックスしたい時くらいあるよ。恋をしているんだから。 「ン、んっ……ふっ、……ン」  好きな人と触れ合ったり、微笑み合ったりしながら、キスだけじゃなくて、その先のもっと濃厚で深く奥まで繋がりたい時だって、あるけれど、そうもいかないから。簡単にはできないから。伊都も入るし、男同士だから時間かけなくちゃいけなかったりで。だから――。 「ァ、睦月っ」 「うさぎの耳だけでも充分すぎるくらいクルのに、これ、俺の、ですよね」 「あァァっ、う、んっ……睦月のパジャマ」  こんな時はひどくやらしくて激しくセックスがしたいんだ。  首筋を強く吸われる刺激に喉を仰け反らせながら、甘い声で返事をした。自分のじゃなくて、睦月のを敢えて着てる。君のは俺よりも少し大きくて、隠れるし、それに、興奮してくれるかなって。 「めちゃくちゃ萌える」 「っン、あり、がとっ、ァっひゃァあン!」  服の下で見えないところに歯を立てられるのがとても気持ち良くて、スウェットを握る手に力がこもる。 「俺の着て」 「ァっ、睦月」  痛みすら刺激に変えられる今の俺には、歯を立てられた箇所にキスをされただけでも蕩けそう。 「石鹸の香りさせて、下、何も履いてないなんて」 「あっ」  太腿を撫でられたら、ペニスの先がやらしく濡れてしまう。 「ここ、もう、ほぐしちゃったんですか?」 「あァっ! ンっ、ま、だっ、そんなにたくさんっ、時間、なかった」  伊都を送って、帰って来てから、慌しく風呂で身体を洗っただけ。中を柔らかくは、まだできてないし、そんなに上手にひとりで準備できるかわからなくて。 「よかった」 「っン、ァ、睦月っ」  コーチをしている時の爽やかな笑顔と声が男の色気に溢れてる。水の中を力強く掻き分けて進む先を指差す手は、パジャマの中へ潜り込み、太腿の柔肌を撫でている。もう片方の手にはいつの間にか持っていたローションがあって、パチンと蓋を開ける音がした。 「俺の楽しみが減っちゃうとこでした」 「あっ」  そして、ローションのぬめりをまとった指が、さっきちゃんと洗っておいた孔の口に触れる。  ツプリと、中指を突き立てられた孔が彼が欲しいと、その指を飲み込んでいく。 「あァァァっ」 「可愛いうさぎさん……」 「あ、あァっ」 「中が、すごく、熱い」 「んんんっ」  だって、君の事がずっと欲しくて、今日は、そんなことばかり考えてしまうほど、身体も心もずっと乾いてた。君に潤してもらいたくて、ずっと、ずっと待ってた。 「俺の指、気持ちイイ?」 「あ、うんっ、ァあっ! すごく、イイよっ、あァァァァァっ」  いじられたのは前立腺。ペニスの付け根の辺りを裏側から撫でられて、先走りが気持ち良さそうに溢れ出てしまう。 「ダメっ、睦月のパジャマ、濡らしちゃう、からっ」 「濡らして? それ、貴方のやらしい汁で濡らして欲しいです」 「ン、んんっ……ン、んっ、んくっ……ァ、ふっ」  キスで口の中をまさぐられながら、身体を指で抉じ開けられ、前立腺を性感帯として扱われる。刺激が強くて、どんどん卑猥にうねり出してしまう自分の内側が恥かしいけれど、今は、もっとして欲しいんだ。 「あっ、あっ、もっと、奥、がいいっ」 「千佳志さん」 「睦月の太いの、がっ」  自分から脚を広げて、孔の口がよく見えるようにしながら、指二本を出し入れされている姿を晒す。 「やらしい人……」 「あ、だって」  だって、今なら君にだけ夢中でいても平気だから。 「だ、め?」 「ダメなわけないでしょ?」  その長い指を咥えたまま、身を起こし、ベッドの上に膝立ちになった。睦月に縋るように身体を寄せて、首に抱きつきながら見下ろすと、睦月も真っ直ぐに見つめ返してくれる。 「はぁっン……ァ、乳首っ」 「声、出して?」 「あ、あァあっ」  いつもは押し殺してしまう声を我慢することなく上げる。我慢してると、布の擦れる音や控えめだけれどたしかに聞こえる濡れた音にさえ、それはそれで、ドキドキするんだけれど。愛撫に悦がり喘ぐのは、聴覚すら睦月に犯してもらってるような気がして。 「乳首、もう硬い」 「あ、だって、睦月が」 「俺がキスする前から硬かったですよ?」  フルフルと首を横に振って、愛しい人の頭を抱きかかえた。 「違う、ァっ、睦月が」 「?」 「こんな乳首にしたんだって、言いたかっ、あっ、あァァァァっ」  強めに齧り付かれた。すっぽりと包まれた乳首をその口の中で舌先に舐められ突付かれ、上下に激しく擦り上げられる。背中を反らせて、乳首を睦月の歯へ押しつけながら、ひどくやらしい声を上げたら。 「千佳志さん」 「っ」  すごく淫らな気分になる。あとで自己嫌悪に陥りそうだ。でも、今は、ただ君のことが欲しくてたまらない。 「千佳志さん?」 「触って?」 「……」  手を捕まえて、そのまま俺の背後へと引っ張った。孔のちょっと上のところ。 「? ぇ、これって」 「尻尾……」  ほぐして、君のペニスが入るだけ柔らくする時間はなかったんだ。伊都を送ってからね。それに、あの雑貨屋さんに寄り道をしていたから。この前、伊都が渡すクリスマスプレゼントを買いに行った時に見つけて、赤面した「それ」を買いに寄っていたから。  特殊シリコンで地肌に直接くっついてるんだ。何かの拍子に取れてしまうけれど、吸い付いている感じ? っていうのかな。でも、これだったら裸でも大丈夫だろう? 裸でそんなものをくっつけられるなんて、こういう行為の時にしか便利だとは思わないけれど。  今がこういう行為だから、いいかなって。 「睦月だけの、うさぎ、に、なりたい」 「……」 「とか、言ったり、したら、興奮してくれるかなと、思って」  君のパジャマを着た、君だけのうさぎ、になったら、可愛がって激しく抱いてくれるかなとか、思ってみたんだ。そう思って、ベッドの中で一人、待ち構えていたんだ。 「ちょっと、さすがにっ、引いた、あっあっ、ン、指っ」 「さすがに、我慢できそうもないんですけど」  うさぎの耳に、うさぎの尻尾をお尻の孔の少し上にくっつけて、恋しい人の服で発情した身体を隠しながら、抱いてもらえるのをベッドの上で待っていたんだ。

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