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バレンタインSS 6 行儀の悪い、いけないお食事
とてもいけないことをしてる。
「あっ……ン」
君に口移しで与えたチョコを、君が舌の上で溶かして、それを――。
「ン、睦月っ、ぁ、ンっ」
「……千佳志さん」
その舌で乳首を舐められて、感じてしまう、はしたなくて、いけないことをしている。
「あぁっ……」
上質なチョコレートだから香りもすごくて、空気もチョコレートでできてるみたいに変わる。君の舌で乳首を舐められて、音を立てて吸われて、感じて、そして、火照るから、興奮した舌先でチョコはもっと簡単に溶けてしまう。
君がチョコと間違えたように乳首を口に含んで噛むと、まだ、中には触れてもらってないのに、そこがじくじく疼くんだ。君のでたくさん擦ってもらえるのはいつなんだろうって、焦れて仕方ない。
「睦月、唇に、チョコついてる」
「ホント? じゃあ、取ってください」
「……ン」
寝転んだ俺の上に覆い被さって、チョコと乳首を一緒に味わう行儀の悪い唇。水泳で鍛えた首を引き寄せて、少し伸びた髪の中に指を差込み、掻き乱しながら、その舌を舐めて拭ってあげる。
「ん」
やらしくて、本当に甘いキスに蕩けそう。
「ありがと」
色っぽく微笑んだかと思ったら、上体を起こして、ベッドの脇の小さなテーブルに置いたスパークリングワインのボトルを手に取った。煽るようにそれを掲げて、口に含んだまま、今度は君の舌が俺の口の中へ入って、流し込むんだ。愛撫を受けて敏感になってるから、このチリチリとした炭酸の刺激が痛くて、鳥肌が立つ。
「はぁっ……ぁ、ン」
「美味しい?」
甘いキスと、痛いキスを交互に味わって、酔ってしまう。
「もっと、睦月……」
その髪をぐちゃぐちゃにして、清潔感のある凛々しい睦月のことをもっと乱してみたい。もっと、めちゃくちゃに。
「ここ、睦月にほぐして欲しい」
スパークリングワインで痺れた舌で長い指を二本、しゃぶって見せた。音を立てて、指の付け根まで唾液で濡らしてから、そんなことをねだって、足を広げようとしたのだけれど。
「いいよ。たくさん、ほぐして、柔らかくしますね」
「あっ」
身体は簡単にひっくり返されて、腰を持ち上げられ、尻を最愛の人に見せ付ける恥ずかしい格好をさせられた。君の目の前で四つん這いになるのは何度やっても恥ずかしくて、その都度興奮してしまう。愛しい人に晒す痴態に、どうしようもなく身体が火照る。今から、その曝け出した身体の奥を太くて硬いのが入るくらい柔らかくなるまで、いじられるって思うだけで。
「あっ……ちょ、ああっ」
指だと思っていたから、ヌルリとした柔らかい感触にびっくりして慌てて振り返った。
「あ、ウソっ」
チョコを咥えた唇に尻の肉を食まれて、舐められた。そして、そのチョコまみれの舌がそのまま尾てい骨も舐めて、汚していく。ビターのじゃなくて、濃厚な後味が喉奥に少し残るホワイトチョコレート。
あっという間に尾てい骨のところで溶けた白いチョコが尻の割れ目や、背骨を伝って、背中のくぼみに流れていくのを感じて、孔がヒクンって、欲しそうにその口を窄めた。
「あっ、やっ……ン、そんなとこっ」
「すごく甘くて美味しい」
「やぁ……」
舐められてる。孔のところをホワイトチョコと一緒に舐めて濡らされて、扱かれてもいない自分の性器が痛いくらいに反応してしまう。
「イっちゃう……」
ホワイトチョコで汚された孔を君の舌に犯されて、射精してしまう。
「あぁぁぁ!」
そんなはしたない身体には愛しい人の指でさえたまらなく気持ち良くて。数回中を擦られて、指の先で前立腺を突付かれただけで。
「今日の千佳志さん、すごくやらしい」
「あ、だって」
君の大きな手の中に吐き出してしまった。
「だって、ぁンっ……ぁ、そこっ……すごくっ」
「中がすごく熱い」
「ン、だって」
チョコもきっと一瞬で溶ける。口移しで与えられたスパークリングワインに酔っ払ったんだ。のぼせた身体に沁みこんだアルコールで熱くて、それこそ理性もすぐに溶けて、ホワイトチョコと同じように尻の割れ目を伝って流れていってしまう。
「欲しい、から……」
睦月がくれるはしたない愛撫に身体の奥が疼いて、もっとイケナイことがしたくなる。
「睦月の、が、欲しいから、早く」
自分で脚を広げて、射精したばかりのペニスも見せつけながら、君の指を咥え込んだ孔を見せ付ける。手で尻を左右に割り開いて、ベッドに頭預けて。
「睦月……ここに、来て」
振り返っておねだりをした。君は欲情を隠して笑ってから、ベッド脇にしまってあるコンドームへと手を伸ばした。
「千佳志さん?」
その手を捕まえた。
「睦月、あの、今日は、なしでも、いい?」
「……」
「中に欲しい」
四つん這いで見えないから、都合が良かった。今日は伊都がいなくて事後の片付けもできるから、君のを中にちょうだい、なんてはしたないおねだりをどんな顔でしたらいいのか、今でもわからないから。
「ひゃっ、ぁ……ン」
キスマークはたくさんつけられない。けれど、ひとつくらいならって、睦月の唇がうなじにひとつ、キスをくれた。肌を少しだけ吸われて、少しだけ齧られて、指をまたきゅんきゅんと締め付ける。
「ホント……やらしくて、困る」
「ぁっ……」
「千佳志の欲しいもの……あげるから、もっと見せて」
貴方の、君の、とても行儀の悪い、やらしい姿を。
「あ、あぁぁっ」
ほぐすのをやめた指が抜けて、そこが物欲しげにヒクつく。精液みたいに白で濡れた尻もお腹も全部見つめられながら、孔に触れるペニスの切っ先に、たったそれだけのことにぶわりと興奮が膨れ上がる。
割り開かれる快感にぶわりと体温が上がった。チョコまみれの愛撫で濡れた身体は火照ると甘い香りを撒き散らしてる気がした。
「っ、千佳志、さんっ」
「あっん、睦月っの、ぁっ……奥までっ」
ズブブ、って抉じ開けられて、中が君でいっぱいになっていく。それがいつもとても嬉しくて、俺は、きゅうきゅうと隙間なく吸い付く。フェラチオみたいに君のペニスを中で締め付けてしまう。
「っ、千佳志っ」
君のペニスの根元まで全部俺の中に入ったら、その狭い中で熱の塊がドクドクするんだ。そして、その感触に君が息を詰める、
気持ちイイ?
俺の中は、ちゃんと睦月のことを。
「あっ……あぁぁっン、ぁ、睦月っ」
「……」
気持ち良くさせてあげられてる?
「あ、あああっ! ン、ぁっンっ」
俺が内側で暴れる君のペニスにひどいくらいにされたいと思ってしまうほど、気持ち良くさせられてるみたいに。
「ね、千佳志」
「?」
話しながら、奥を突かれて、セックス中の会話に悶えてしまうけれど。君が奥まで突き刺さってるから、身悶えるのもできない。
「バレンタインは最愛の人に気持ちを伝える日でもあるんですよ」
「……」
男っぽく笑って、奥を繰り返し刺し貫かれ、可愛がられながら、与えられる上品な味がする下品なキスがたまらなく美味しい。
「睦月……」
「貴方のことを、ずっと愛してます」
そして、俺は君に、中から白が溢れるくらい何度もねだっては中から白が溢れるくらいに、セックスで、言葉で、たくさん可愛がられた。
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