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02ヴァニタス・アッシュフィールド7歳

ヴァニタス・アッシュフィールド。 これが今の俺の名前だ。 父はナイジェル・アッシュフィールド。 これはもう間違いない。 30年前の昔懐かしいドット絵ゲーム、「アルビオンズ・プレッジ」の世界だ。 この世界の7つの国の王は、ゲーム開始時点で魔王配下の魔物に成り代わられている。 今俺のいる国ラスティルの王も例外なく、ゲーム開始時点で王は葬られ、王に成り代わった魔物が圧政を強いていた。 ラスティルの騎士団長、ユスティート・ティアニーは唯一、王の成り代わりに気づくが、洗脳された騎士たちやラスティルに入り込んでいた魔物たちに襲われる。 ラスティルの賢者、スピルス・リッジウェイの犠牲により王宮から脱出したユスティートは、各地を放浪。 後の大英雄、ゲーム開始当初は孤児の旅人アルビオンと出会い、共に世界を旅し、仲間を集めてやがてラスティルへと舞い戻る。 そしてついに、ラスティル王に成り代わっていた魔物を退治し、自身が王位につくのだが……。 わかってる。 お前らの言いたいことはよーくわかってる。 今の俺、ヴァニタス・アッシュフィールドがこの流れの何処に出てくるのか……だろ? 考えてもみろ。 逃亡者ユスティートは真っ正面からラスティルには入れない。 当然、潜入には抜け道を使う。 アッシュフィールド家は、ラスティル国内ではあるものの、市街地から遠く離れた森の中の廃屋と化した屋敷を所有している。 その森の奥のボロ屋敷には、このアッシュフィールドの庭の井戸へと繋がる地下水脈の抜け道があるのだ。 ユスティート含むアルビオン様御一行はラスティル潜入にその抜け道を使う。 それを見越したクソ親父によって森の奥のボロ屋敷に張り込まされるのがこの俺、固有グラなしのモブ敵、ヴァニタス・アッシュフィールドだ。 モブのザコ敵、ヴァニタスは大英雄様御一行にあっさり倒され、ダンジョンと化した地下水脈の抜け道を抜け、アッシュフィールド家の庭で固有グラありの強敵、父親ナイジェル・アッシュフィールドと対峙する。 あのモブ、こんなに美少年だったんかい。 まぁ……仕方ねぇな。 ドット絵の時代だもんな……うん。 となれば、俺のやるべきことはひとつだ。 どうせモブ敵としてアッサリ死ぬんなら、それまでのモラトリアムは思いっきり満喫するしかねぇじゃん?

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