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第9話 ロジの独白⑥
女子大生まりこさんの、拙いセックスとわざとらしい喘ぎに辟易した。
そう言えばミトがいない?ドアの前に紅茶が用意されていた。ミトはどんな気持ちでこれを用意したのか?
「キミ、悪いけど今日は終わりだ。紅茶を飲んで帰りたまえ。」
ミトを探しに出た。
そんなに遠くには行けないだろう。家の周りを探して海の方へ行った。夜の海を怖がっていたから海にはいないだろうか。
狂ったように探し回って遂に海岸で見つけた。一人で膝を抱えて砂山にもたれて眠っている。愛しさに胸がいっぱいだ。抱き起こしたら嬉しそうに胸に飛び込んで来た。
「ロジ、ロジ!」
家に連れ帰った。
のんびり紅茶を飲んでいる彼女には悪かったが帰ってもらった。内心、女は懲り懲りだったはずなのに、と地団駄を踏む思いだった。
今日一日サリナと過ごした話を聞いた。やはりサリナは、セックスを教えてくれたらしい。
予想は出来たはずなのに、少し傷ついた自分に驚く。
私はエゴイストだ。ミトを置いて一人で寝室に入った。わざと「おいで」とは言わなかった。
ミトは来ない。
リビングを覗いてみるとソファで捨てられた子猫のように小さく丸まって眠るミトがいた。ミトが自分でベッドに来てくれるのを待つ。
気になって眠るどころではないな。
しばらくすると、可愛い小動物のようなミトがベッドに潜り込んできた。その身体を抱きしめる。
「ミト、来るのが遅いぞ。」
「ロジ、ロジ。」
可愛い。抱きしめて眠る事にしよう。
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