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第10話 ロジとミト①
私がデスクワークの時は、ミトは書庫の本を読み漁っている。母親と二人暮らしだったから母の本棚が学校だった、と言う。引きこもりの不登校で、母親の本棚で独学していたそうだ。母親は物書きで本だけはたくさんあったらしい。意外と物知りで頭の回転は早い。
「今日は甘えてくるねぇ。どうした?出かけるか?」
集中が切れたところでミトを誘って大学の用事を済ませる事にした。
「私の大学に行くか?」
「行きたい!」
ミト視点・・
「尊(たける)悪いな、手が空いてたら、ミトに学内を案内してやってくれ。」
「ミトちゃん、学食に行こう。この前改装したオシャレなカフェっぽい所があるんだ。」
尊と呼ばれた人は優しく案内してくれる。
「ここはスィーツが充実してるんだよ。」
尊と大きなパフェを食べた。
「すごいね、このパフェ。僕フルーツ大好きなんだけど、こんな大きいの食べられるかな。」
尊はイケメンだ。ロジの好みで選ばれてる訳じゃないだろうけど、ロジ好みの細マッチョ。僕の好きなタイプでもある。
「尊も甘党なの?」
「うん、お酒を飲むより甘いものを食べる方が好きだな。僕のチョコパフェ、一口食べるかい?」
「あーん、美味しい。
じゃ僕のイチゴパフェも一口あげるね。」
尊と分け合って大きなパフェを食べた。
「尊は何才なの?」
「僕は25才だよ。ずっとロジ先生の研究室にいる。」
「え、僕と同じ年だ。お兄さんかと思ってた。
僕も大学で勉強してたら、尊みたいな感じかな?
中学もほとんど行ってないんだ。引きこもりだったから。」
「ミトはキレイな感じがするよ。人間に汚されてないっていうか。学校は人の汚さに塗れる所だった。僕にとって中学や高校は心を汚されて壊される所だったんだ。
ミトがキレイな心でいられたのは、引きこもりのおかげかもしれないね。僕は人間が怖い。」
尊はそんな事まで話してくれていいのかな?
なんだか愛しくなった。
「尊、今度ウチに遊びにおいでよ。
ロジと僕のウチに。」
「本当?ぜひ行くよ!」
研究室に戻るとロジが抱きしめてくれた。
「遅かったな。尊、ミトのお守りありがとな。」
「お守りって何?子供扱いして!
僕と尊は同い年なんだよ。ロジ今度尊をウチにご招待しよう。」
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