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第19話 ロジとミトとハジメ
ロジはあの晩、昔の恋人と再会してミトから目を離してしまった。深夜になってミトがいない事に気付いた。
それを見ていたサディストの沼田レイモンが
「ミトちゃんなら尊と一緒に来たわよ。
尊は真正のマゾだからプレイを見せてあげたの。
ミトちゃんにも何回か鞭をあげたわ。
うふふ、あの子調教のし甲斐があるわよ。
勃起してたもの。」
ロジはレイモンの胸倉を掴んだが周りから止められた。殴りたかっただろう。
今までのロジだったら、誰が相手でも、適当に遊んですぐに捨てていた。決して一人に執着しない。飽きっぽい、と言われる所以だった。
「一度でいいから抱いて。」
という相手に事欠かない。
いつも徹底して、去るものは追わない。
こんな不安そうなロジを見るのは初めてだった。
他にも目撃者はたくさんいた。
ドラァグ・クィーンの小鉄が
「久しぶりにハジメちゃんが来てたの。
しばらく日本にいなかったのね。何だか埃っぽくて薄汚れた感じがワイルドでセクシーだったけど、ミトちゃんと手を繋いで外に出たみたい。」
(ああ、きっとそうだ。ミトはそいつの所にいる。
私にはわかる。ミトの惹かれるタイプだ。
ミトがいなかったら私が惚れていた。
そんな男だ。)
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