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第38話 インド・ネパール編

 次の日もガンガーに行った。ビザの申請が通るまで時間が出来た。  一日中座って河を見ていた。サドゥの人たちがたむろしている河岸。何かの見世物をやっているのか、人だかりがしている。  サドゥの一人がヨーガのポーズをやっている。次々に難しいポーズが繰り出される。僕も見惚れてしまった。 「バクシーシ、」 前に置かれたカゴにお金が投げられる。ひとしきり見ていた。 「昨日のチャラスのパンをくれた人がいないね。」 僕の声をハジメが伝えている。 「あー、タントリカは死んだよ。修験者だったけどタントラに帰ったのだ。」 そばにいたサドゥが近くの煙を指さして言った。衝撃だった。死体を焼く煙。帰ったって? 女性器の事もタントラというらしい。 「昨日、僕は確かにパンを貰って、心が宇宙に飛んだよ。あの人がもうこの世にいないなんて。」 「ミト、ガンガーには死にに来る人もいる。 昨日のあいつはタントリカ、だから死んだというより帰った、と行った方がいいだろ。 死は突然訪れる。けれど覚悟は出来る。 俺はいつ死んでもいい、と覚悟して生きて来たけれどミトに出会って、死が怖くなった。 今までは無茶な事もして来たけれど今はもっともっとミトを愛したい。」 僕はハジメに抱きついて泣いた。 生きる事は怖い事だ。サドゥの人たちは怖くないのか?だから修行をしているのか? 「僕は何かが見えて来たよ。 っていうか、見えそうで見えない。」

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