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第41話 インド・ネパール編

「先輩はガンジャだけでは物足りなくなってチャラスに手を出した。チャラスはハシシュの事だよ。大麻樹脂。  マリファナがクサというのに対してチャラスはクソだ。英語だとマリファナはグラスでチャラスはシットだ。茶色い塊。ネパールからくるものが真っ黒で特に効く。上物だ。  アッパーなドラッグは多幸感をもたらすけれど、その人間の性格にもよるんだけど、もっと強烈なドラッグが欲しくなるとダウン、落ちていく。安いドミトリーにも泊まれなくなって乞食になっても、もっともっとってLSDやヘロインに手を出して廃人になる。  そんな日本人をサルベージ、探し出して助けるNGO。友人を探しに来た事がきっかけでマコチン達がそれを引き継いでやってるんだ。」 「ハジメもその仕事、やってるの?」 メドウズはハジメの顔を見ながら言った。 「ハジメはサルベージされた方。 警察沙汰にしないで仲間内で助けたの。その前に先輩が死んだから。大使館を通して先輩の親族が呼ばれて遺体を引き取る手続きをしたのよ。  先輩はLSDを2発キメて、手足の血管を切って両目を潰して病院に運ばれた。 その時、部屋の隅でボロ雑巾のように丸まって震えてたハジメを私とマコチンで助けて隠したの。 この子は捕まったらヤバい、と思ったのね。死んでないから。まだ生きてるから!」  だから犯罪者にはカウントされなかった。強制送還もされなかった。今でも普通にパスポートが取れる。どこにもハジメの負の記録は残らなかった。マコチンやメドウズは表に出ない犯罪や麻薬に巻き込まれた若者を助けている。手遅れも多い。 「ハジメ、そんな若い時があったんだね。」

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