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第46話 ネパールへ

 カトマンドゥでは、先輩の弟がいるらしいっていうフリークがたむろするホテルに行った。 「チモって奴を知ってるか?」 毎日薬漬けのジャンキーたち。 そのためにカトマンドゥまで流れて来たというのが大半だ。 「チモは女の子といるよ。」 チモを知ってる奴がいた。ヨーロッパや日本から来たフリークが集まってる木賃宿を教えられた。  チモは姫という女の子と暮らしていた。 「やあ、俺ハジメ。おまえを探してた。 ジェロニモの弟だろ。」 ジェロニモっていうのは死んだ先輩の呼び名だった。 「ハジメ?カマ野郎か。 おまえは兄貴を見殺しにしたんだろ。」 かたくなな奴。ハジメだって被害者だったのに。 でも僕が余計なことは言えない。  ちなみにチモっていう呼び名は恥毛から来てるらしい。自虐的な呼び名だな。痩せっぽちな姫っていう女の子と薬漬けな生活らしい。  ゲイでは無さそうだ。 もうタイムリミットは迫っているようだ。金銭面でも、健康面でも。 「おまえの親父さんから頼まれた。 裏のルートから探すようにって。 正面切って探したら、見つかっても犯罪者にされてしまうから、と。 俺が出来る事はあまりないが。  俺はジェロニモを愛していた。 初めての恋人だった。 チモには生きて欲しい。 日本に帰る事を考えてくれ。 俺はしばらくカトマンドゥにいるから。

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