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第47話 ネパールへ
チモはハジメを嫌ってるようだ。
ルサンチマンをハジメだけにぶつけて、憎む事にすがって生きてるように見える。
きっと他には何もないんだ。
「無理だな。
ドス黒い感情が俺を覆っている。」
チモはハジメを睨みつけて言った。
ゲストハウスに戻ってこれからの事を話し合った。ハジメの膝に抱かれて話を聞く。
「ジェロニモとチモの親は、日本の地方の資産家なんだ。息子が二人ともジャンキーになって一人は死んでしまったし、もう一人は行方不明。
もっとも生き残った弟の方には時々仕送りをしているから、ネパールにいる事はわかってたみたいだけど。
ジェロのお父さんは俺の事は恨んでないって、破格の金で仕事を依頼して来た。」
ハジメを探してNGOに繋がったんだって。
「俺はずっと心に抱えていた負い目を、チモを探す事で贖罪しようとしてたんだな。
チモにはわかったんだ。
だから拒絶されてしまった。」
チモの所へ何回も通った。チモは心を閉ざしている。
「無駄だと思う。
チモはあんたに会いたくないって。」
姫が言った。もう顔さえ見せなくなった。
僕はハジメを抱いてそのつらさを分かち合いたい、と思った。
「ハジメは悪くないよ。
どうして償わなければ、って思うの?
ハジメだって傷ついたでしょ。10年以上引きずってるんでしょ。あんな奴どうだっていいよ。
麻薬に逃げて、楽なだけなんだ。
ハジメは僕と日本に帰ろう。
ロジと僕とハジメで日本で幸せになろう。」
泣きながら話す僕を抱きしめてくれた。
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