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第56話 3人

 ハジメが髪を切った。 腰まで届くサラサラな髪。10年以上伸ばしてたらしい。恋人のジェロニモが死んだ時から切れなくなったって言ってた。 「長すぎるよ。僕長い髪の男は好きだけど、もう少し短くてもいいよね。肩くらいかな。」 「ああ、一つに結べる長さならいい。」 「小鉄に切って貰え。」 ロジが言ったので3人で出かけた。  ドラァグ・クィーンの小鉄は美容師だったんだ。メイクアップアーティストでもある。それはよくわかる。メイクが上手い。  ロジとハジメと3人で小鉄のお店に行った。 代官山の一等地にその美容室はあった。予約が取れなくて有名な超人気店。 ータイニィ・アイアンー 小鉄? 「いらっしゃい。」 背が高くてスタイルのいいハンサムな美容師が迎えてくれた。小鉄だ。男の格好も凄く素敵な人。男の人だもんね。  他にも何人かいるスタッフはみんなイケメン。 小鉄の好み?ホストクラブみたい。  小鉄はロジにキスした。結構ディープな奴。そしてハジメにも。最後に僕にもキスしてくれた、軽く。 「ミトちやん、いいわね。 みんなが嫉妬してるわよ。いい男を独り占め。」 「え、ロジが僕たちを独り占めしてるんだよ。」 「ミトちゃん、言うようになったわね。 うふふ、ロジの教育がいいのね。  ハジメちゃん、今日はどうするの? そんなに長くしたのに、思いきって切っちゃうの?」 ハジメはもう髪に執着しないって決めたんだって。 ージェロニモの墓に捧げるーとか言ってた。

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