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第70話 ロジの仮説

「なんだか俺、弱くなったのかな。 寂しくて仕方がない。ロジ、ミト不足だ。」 「じゃあ、みんなでお風呂に入ろう。朝まで愛し合うために。」 ミトは無邪気に言った。ハジメに抱きついて 「ハジメの匂い。汗くさい匂い,大好き。」 首にキスした。 「ミトと風呂に入っておいで。 私は後でいいよ。」 ロジ、大人の余裕?  この所、ロジは忙しそうだ。 僕たちがインドに行ってた時、ロジが取り組んでた論文が学会だけでなく、いろいろな所で注目されているらしい。  量子物理学というよりも宗教的な要素が多い。ロジが取り組んでいるのは"死"、あるいは "生命"の事。独特な死生観。  死なない人、っていうのが存在するらしい。 その片鱗を見つけたという。 「死なないってどういう事?」 「世界に時々、その存在が知られる事がある。でも確たる証拠はない。誰も確かめられないだろ。 見届け人も、先に死ぬ。  本人にもあまり自覚は無くて、記憶も途切れて、普通に暮らしているらしい。」   ロジの仮説  生き物はその身体が衰えると死を迎える。でもその生き物の思念は消えるのだろうか?  仏陀の残した経典に書かれている生命観が興味深い。身体は単なる入れ物。キリスト教でも聖杯という考え方があるが、まさしく入れ物、だね。

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