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第71話 ロジの仮説
その精神は死んでも代々受け継がれて続いて行く。精神は非常にパーソナルなものだ。生きている時、周りにいた人々、家族とか友人とかそのコミュニティの仲間、そんな人々、動物もペットもみんな死ぬ事でリセットされてしまう。究極の別れだ。情け容赦ない。死の悲しみはそこにあるのだろう。
魂は続いて行く。メビウスの輪のようだ。
始めなく終わり無し、無始無終、と仏陀は説いている。死んでいる状態は生きていた時の反省、と次の生まれるための準備。生命はその繰り返し。
だから生きている時に出会う人々は稀有な存在だ。この広大な宇宙の中で、その果てしない時間の中で、生きている状態は一瞬、かも知れない。
その一瞬で出会い、まして愛し合うなんて、奇跡のようだ。
量子物理学の研究者が見つけた仮説がきっかけだった。死は存在しない。別れがあるだけ・・・
僕は引きこもっていた頃から同じような事を考えていた。仏教系の本を読み漁っていた頃。仏教の考え方も、仏陀亡き後、捉え方は千差万別になってしまった感はあるが、仏陀の言葉として残されている物の中にはやはり真理が隠されているような気がする。
ゼロポイントフィールド仮説。科学が仏陀を後追いしているように思える。二千年以上前から気付いていた人がいる。だったら二千年以上前から生き続けている人だっているかもしれない。何万年も?何億年も?
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