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第86話 4人から2人へ

「ロジ、ミト、俺たちの事を認めてくれてありがとう。二人で話し合ったんだけど、部屋を借りようか、と思ってるんだ。」 「ここを完全に出るって事?」  タカヒロがハジメの手を握って嬉しそうにしている。片時も離れないのだ。 「私達もあてられっぱなしだったから、いい潮時かもな。」 「ロジはいいの? 僕は嫌だ。タカなんか嫌いだ!」  ミトは今まで人を嫌った事がない。嫌うほどの人間関係を築いた事がない。他人に近づかない。 心を開かないで生きてきた。  26才とは思えない経験の無さ。その世間知らずな所も、純粋さ、としてロジは愛してくれる。 (わかってるんだ。ハジメとタカヒロがしあわせそうだから余計に意地悪になる。わかってる。 そんな自分が大嫌い!)    ミトもロジから離れなくなった。タカヒロの真似、じゃないけど離れられない。怖くて一人になれない。いつもロジの後をついて歩く。 「可愛いなぁ。」 ロジは嫌がらずにミトを抱きしめてくれる。 「ロジ、ロジ、僕を一人にしないでね。」  (この愛しさは何だ?可愛くてならない。出会った頃よりもっと、愛しくて切ない。) 「ミトを一人になんかしないよ、絶対。 でも年の差を考えたら、私が先に逝くかもしれないなぁ。」 冗談で言うと泣きながら 「嫌だ!置いて行かないで。もしロジが不治の病で死ぬ事がわかったら、死ぬ直前に僕を殺して!」 抱きついて離さない。 「可愛いなぁ。大丈夫だよ。私はきっと長生きだ。」 「ロジ大好き。」 「私はもっと、世界一ミトを愛してるよ、」 深いキスをしてくれる。

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