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第92話 ゲイパーティ
(俺は何をやってるんだ。
ミトは本当は手の届かない天使。
この世の存在ではないのかもしれないな。
俺が抱いたのは天使。
いくら抱いても汚れない天使だったんだ。
もう二度とこの胸に抱く事は出来ないのだろう。)
そんな事を考えるほど、ミトの美貌は常軌を逸していた。
「ロジ、ミト、久しぶりだね。元気だった?」
ハジメがタカヒロの肩を抱いてこちらに来た。隣のソファに座ってミトと目が合ったから声をかけて来たのだろう。
「相変わらず仲がいいなぁ、ハジメ。
愛しい恋人をこんな所に連れてきたら、誰かに持ってかれるぞ。」
ロジが言っている。以前のハジメとミトのなれそめを揶揄っている。
「すみません、あの時は、ミトがロジのものだと知らなかった。知ってたら手を出す訳がない。」
タカヒロはミトを見つめている。
「ごめんなさい。
ミトがあまりにも綺麗で。」
タカは正直だ。
ミトは回って来るドンペリをかなり早いペースで飲み干している。グラスが空けばどこからともなくマグナム瓶から注がれる。
「ミト、飲み過ぎだよ。
アルコールの少ない飲み物に変えよう。
"ファジーネーブル"を持って来て。
スピリッツは抜きで。ペシェのアルコール分だけでいい。」
ミトは運ばれて来たカクテルを口にした。
「甘くて美味しい。オレンジジュースだけじゃないね。桃の香りがする。」
「ペシェはフランスの桃のリキュールだよ。
オレンジジュースが主だけどいい香りだろ。
ウォッカをベースに作ったりするけど、今日のミトは飲み過ぎてるからな。」
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