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第94話 ハジメ、そしてロジとミト
ハジメの思い・・
ミトとインド、ネパールを一年近くも旅していた時、なんとロジは誰とも浮気しなかったらしい。
(俺は、現場にいた時、寂しくてタカヒロを抱いてしまった。
ロジはモテるからたくさんの誘惑があったはずなのに、俺たちの、いやミトのために誰とも浮気しなかったんだ。)
昔はロジだって誰彼かまわずセックスしていたという。ミトに出会って変わったのか?
(やっぱり、ミトは天使だな。)
ロジとミトはまた二人だけの生活になった。追いかけてインドまで行くほどハジメが好きだったのに、もういない。
3人の家だったのに今は2人だけの家。
ミトは精神的には少し大人になったかもしれない。ミトの望みは出来るだけ叶えようとするロジに甘えて暮らして来たが、どうしても叶わないこともあるのを知った。人の心は自分の自由にはならない。どんなに泣いても帰らない。
「あら、ハジメちゃん、髪切るの?
遅い時間ね、お店閉めるところよ。
恋人くんは?」
「小鉄さん、今日は一人です。髪はまだ切らなくていいです。それより話したくて。時間いいですか?」
「そう、珍しいわね。食事でもする?」
「はい、夕食をご一緒しませんか?」
小鉄は近くのスペインバルに連れて行ってくれた。久しぶりのスペイン料理。
「俺、ワイン飲んでもいいですか?
なんかピンチョスで、カヴァを。」
「住んでるところ、近いんだっけ?」
「代官山なら歩いて帰れるかな。」
「一人なのね、大丈夫?」
ハジメは誰かと話したかった。
タカを愛しているはずなのにこんなに寂しい。
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