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第97話 叶うならあの日に戻りたい

「どうした?恋人は来なかったのか?」 「はい、一人で来ました。」 ハジメは何か話がありそうだ。 「今日はロジに相談があります。」 ロジなら解決してくれると信じてここまで来たらしい。 「タカヒロは棄てられない。 別れるなんて言ったら、あいつはきっと死んでしまう。俺は愛してると思う。  でもロジとミトを忘れる事は出来ない。 今日まで耐えて来たんだ。もう限界です。 どうしたらいい?いくら考えても答えは出ない。 ロジ、助けてください。」  ロジは笑いながら言った。 「簡単だよ。4人で愛し合えばいいんだ。 別に乱交パーティをやろうって言うのじゃないよ。心は自由なんだよ。」  ロジの言う事が不思議に心に入って来た。 (そうだ。どうして4人で愛し合う事が出来ないと思ってるんだろう。セックスだけで繋がっている訳じゃないんだ。)  ハジメは早く帰ってタカヒロを抱きしめてやろうと思った。  帰るハジメにミトがキスをねだる。 久しぶりのミトのディープなキス。柔らかい唇がハジメの口を塞いだ。激しくはない。優しく唇を合わせてミトは感触を確かめているようだ。  ソファに座ってミトを抱いてゆっくり唇を合わせる。ポカラでは毎日していたキス。ヒマラヤに見られながら、当たり前にしていたキス。その後のゆったりしたセックスに続く。あの時はもう帰らない。  叶うならあの日に戻りたい。

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