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第98話 4人?

 ミトの唇が少し開いて舌がハジメの口の中を探る、優しいミトの感触。ミトの全部が欲しい。唾液の一滴までも貪ってしまう。 「あ、あ、ミト駄目だよ。」 我慢できなくなる。ミトの身体を全部好きなように舐めまわしてた頃が懐かしい。 「それ以上やったら、タカヒロを裏切る事になるぞ。ここまでだ。心の整理をつけてこい。  タカヒロが喜んでここに来られるように。」 ロジに止められた。  ミトは魔性だ。その無邪気さに絡め取られる。何の意図もない。本能のままに欲しがって来る。 どんな無理をしてもそれに応えてやりたい。  ロジに抱きとられて泣きながら 「ハジメ、今度は抱いてね。」 可愛過ぎる。何もいらない、ミトが欲しい。 焦げ付く思いをかかえて帰るしか無い。 「ロジ、ミト、待ってて。きっとタカヒロと一緒に来るよ。じゃ。」  二人のマンションに帰って来た。 「ただいま、タカはずっと家にいたの?」 「うん、ハジメはどこに行ってたの?ジム?」  タカヒロは、ハジメのいない時間は何も手につかない。二人の時間は大切で、一人の時間はただ潰すためだけに、ある。  ハジメのいない世界は灰色で暗くて色がない。ハジメに抱かれて、生き返るようだ。こんな自分が嫌になる。

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